『トトロ』『魔女宅』『ポニョ』『ラピュタ』『千と千尋』 ジブリの“隠れMVP”キャラ5選

『天空の城ラピュタ』ポム

『天空の城ラピュタ』©1986 Studio Ghibli

 ポムは、『天空の城ラピュタ』に登場する代々の鉱夫で、石に詳しい風変わりな老人。そして、主人公・パズーとは以前から面識があり、ポムじいさんと呼ばれている。

 ポムの評価されるべきポイントは、パズーと本作のヒロイン・シータに最も有益な情報を与えているところにある。ポムは、作中で「石が騒いでいるのは上空にラピュタが来ているから」と説明しており、今まで存在が不確かであったラピュタの存在を確信させ、パズーとシータにラピュタを見つけるという希望を与えた物語のキーパーソンでもある。

『天空の城ラピュタ』©1986 Studio Ghibli

 ポムの魅力は、有益な情報だけでなく、飛行石を生での魅力と危険性の二面性を理解し、作中で、「力のある石は人を幸せにもするが、不幸をまねくこともよぉーあることなんじゃ」と、パズーとシータに忠告してくれていた優しさにあるのではないだろうか。

『千と千尋の神隠し』リン

『千と千尋の神隠し』©2001 Studio Ghibli・NDDTM

 リンは、『千と千尋の神隠し』に登場する油屋で下働きをしている少女で、主人公・千尋の先輩的存在。

 リンの評価されるべきポイントは、他の油屋の従業員たちが人間である千尋を差別的に嫌っていたのに対し、リンだけは差別をせず、先輩として千尋の面倒を見たり、頑張った千尋を正面から認めていたところにある。千尋にとっても、リンは未知の世界で出会ったお姉さん的存在であり、リンがいたからこそ油屋のキツイ仕事を頑張ることができたのではないかとも思う。

『千と千尋の神隠し』©2001 Studio Ghibli・NDDTM

 リンの魅力は、油屋でのシーンによく現れている。上司である男衆に対してはタメ口で話しているが、先輩の湯女に対しては、「お姉さま」と慕っていたりと、相手に合わせた自分を見せている部分からは、リンが油屋の中でも多くの者から慕われる存在であるということが読み取れる。

 今回紹介したスタジオジブリ作品における陰の功労者的キャラクターたちは、単なる物語の要素を越え、物語の進行において重要な役割を果たすだけでなく、主人公の多様な感情を引き出したり、新たな視点を与えていた。そして、主人公だけでなく、観客である私たちにも物語の奥行きを深めてくれることからは、彼らが作品の魅力を豊かに彩る存在であるといえるだろう。

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