『どうする家康』松本潤の威厳が次のステージに ムロツヨシと対照的な“静”の芝居

 味方につくと約束したはずの池田恒興(徳重聡)が信雄を裏切っても、家康の威厳は失われない。10万を超える軍勢と戦になると知って信雄は震えあがるが、家康は「秀吉相手の戦が思いどおりにいかぬことはもとより承知の上」と冷静だ。家康は「総大将がうろたえるな」「信長の息子じゃろう。しっかりせい」と信雄にカツを入れた。家康の存在感は信長のように誰もが畏れるものとは違う。だが、信雄を一喝し、泰然と次の手を命じる姿には、信長の背中を追い続けてきたからこそ得られた確かな強さがあった。

 小牧・長久手の戦いを前に、相まみえることとなった秀吉と家康の顔が映し出される。「家康と勝負をつけたるわ」と口にする秀吉の爛々とした目が魅力的だ。「勝てば官軍」という状況が、秀吉にとっては面白いのかもしれない。徳川勢との戦を前に秀吉は、不敵な笑みを浮かべたかと思えば、喜びを噛み締めるような顔を見せ、片眉をあげて挑発するような顔も見せた。対照的に、家康は感情を交えない落ち着いた面持ちのままだった。家康の目的はただ一つ。秀吉を倒すことだ。対照的な2人の戦いの火ぶたが切られる。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

関連記事