『らんまん』浜辺美波の心情表現が素晴らしい 万太郎と寿恵子が手にした“生きる意味”

 万太郎(神木隆之介)が「この子の人生にありとあらゆる草花が、咲き誇るように」とその名前をつけた時、こんな未来が訪れると誰が予想しただろう。万太郎と寿恵子(浜辺美波)の最愛の娘・園子が天国へと旅立った。『らんまん』(NHK総合)第19週が幕を開けても、二人の悲しみが癒えることはない。癒えるはずもない。

 「7歳までは神のうち」という言葉がある。これは、まだ医療が発達していなかった時代に生まれた言葉。当時は7歳までに病気などで亡くなるケースが多く、神様から預かった子供をお返しする日がいつ来てもおかしくないと考えられていた。だからこそ、この国には節目節目で子供の成長を祝ったり、願ったりする行事が多数存在する。その一つが、毎年5月5日の“端午の節句”だ。現代ではこどもの日として知られ、多くの家庭が五月人形や鯉のぼりを飾って子供の健やかな成長を祈る。

 園子の死からまだ間もなく、万太郎たちの世界にもその日が訪れる。同じ長屋で暮らす倉木夫妻は二人に気を遣いながら、静かに息子・健作(渋谷そらじ)に身を守るためのお守りである兜を被せる。健作はその名の通り、健やかに育った。だが、それは決して当たり前のことじゃない。もともとは身体が弱く、頻繁に熱を出していた健作。万太郎が倉木(大東駿介)に盗まれた標本を取り返すべく初めて十徳長屋を訪れた日も、彼は高熱に苦しんでいた。

 あの日、もし万太郎が代わりにお金を払って医者を呼んでくれなければ、健作は無事に今日を迎えられなかったかもしれないーー倉木とえい(成海璃子)にはそんな思いがあるのだろう。時間が1番の薬だと分かってはいるが、二人目を妊娠中の寿恵子のためにも、栄養価が高い卵を万太郎に授ける。現在、価格が高騰している卵だが、当時はもっと高級品。倉木の家も決して楽な生活とはいえないが、それでも万太郎と寿恵子に少しでも元気になってほしくて、なけなしのお金で卵を買ったのだ。その卵で、まつ(牧瀬里穂)は体に優しい雑炊を作る。顔の見えぬ家主も「せめて滋養のあるものを食べておくれ」と、りん(安藤玉恵)に香典を託した。そうした多くを語らない言葉足らずの、いや、言葉以上の愛と優しさが目には見えずとも万太郎たちの心を少しずつ癒していく。

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