『らんまん』佐久間由衣&志尊淳を襲った運命の急転 万太郎のロシア行きに暗雲漂う

 女性は蔵に入ってはいけない。理由は、女性はけがれていて腐造を出してしまうから。第4話で酒蔵に入った幼い綾(太田結乃)を、杜氏の寅松(嶋尾康史)は厳しく叱りつけた。時を経て、平身低頭する寅松を綾と竹雄は責めなかった。峰屋に尽くしてくれた蔵人衆の頭に、どうしてそんなことが言えるだろう。また、言ってどうにかなるものでもなかった。

 あまりにあっけなく峰屋の歴史は幕を閉じた。綾はもぬけの殻になった酒蔵に足を踏み入れる。酒の神が鎮座したその場所からすでに主は去り、深閑とした天井に綾の絶叫だけが響く。こんな終わらせ方があっていいのか、と呆然とした視聴者も多かっただろう。そこからの進展は早かった。綾と竹雄は奉公人に蔵を閉じることを告げ、言葉を交わした。

 絶望的な状況で目に留まったスミレの花。終わりの風景の中で、竹雄は「まだ終わっちゃあせん」と言って綾を気丈に励ます。スミレは多年草である。芽吹いた場所に根を張り、踏まれてもけなげに茎を伸ばして、翌年も花を咲かせる。安易な希望や慰めではなく、それでも生きていくのだと静かに語りかけていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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