浜辺美波、『らんまん』で“少女性”から“母性”の領域へ 理想的な母を演じた22歳の新境地

 そして子供が誕生したことで一気に落ち着く。さらに子供を優しい眼差しで見守るように、万太郎が上手くいかないことも見守り続ける。田邊(要潤)との話し合いが決裂し、落ち込んで帰ってきた万太郎を何も言わずに抱きしめ「万太郎さんは終わらない、終わるもんですか」と、万太郎の心を察して勇気づける。ここには母性があり、包み込むような懐の深い演技へと変化する。その反面、やはり家計が苦しく、心配しないでと言いつつ心は笑っていない様子は、どこか疲れや不安を感じさせる。とはいえ、どん底に陥った時こそ夫を支える本当の強さ。相変わらず万太郎を前向きにさせようとする姿勢が健気で、家族のために頑張ろうと勇気づける、まさに母親のふるまいだ。

 浜辺はもともと様々な表情を演技で見せる演技派で、そのレパートリーでもってゆっくりと母親へと成長していく変化を見せた。かわいらしさを残しつつも、少女っぽさを消していく演技に成功している。そして持ち前の安心感もあり、22歳ながら母親役として見事に活かされている。

 人生のなかで波瀾万丈が起きようとも、帰る場所、安心できる場所を築いていることが、朝ドラを楽しく観られる大きな要因だ。しかし、今週から本格的に槙野家は波乱の展開を迎える。夫のことだけなら明るく支えていけばいいが、子供のことになれば話は別。その時に浜辺はどんな演技を見せてくれるのか。今作の浜辺が演じる母親像は本当に理想的なだけに、幸せな結末を願うばかり。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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