謎の数字“19”を読み解くムラタン・ムスルの姿が 『ヒンターラント』予告編&場面写真
9月8日に公開されるステファン・ルツォヴィツキーの最新作『ヒンターラント』の予告編と追加場面写真が公開された。
本作は、実録歴史ミステリー『ヒトラーの贋札』で第80回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したルツォヴィツキー監督によるミステリー。歴史の暗黒時代に焦点を当てながらも、全編ブルーバックによる撮影で、ダークファンタジーのような世界観を演出した。ロカルノ国際映画祭では観客賞を、オーストリア映画賞では6部門にノミネートされ、美術賞を受賞している。
第一次世界大戦終結後、長く苦しいロシアでの捕虜収容所生活から開放され、ようやく故郷にたどり着いた元刑事ペーター(ムラタン・ムスル)とその戦友たち。しかし帰国した彼らを待ち受けていたのは変わり果てた祖国だった。敗戦国となり皇帝は国外逃亡。愛する国と家族を守るために戦った彼ら兵士たちに対するねぎらいの言葉すらない。そして帰宅した家に愛する家族の姿はなく、行き場をなくすペーター。そんな最中、河原で奇妙な遺体が発見される。被害者はペーターのかつての戦友だった。遺体には相手に苦痛を与えることを目的に仕掛けられた拷問の跡、そしてその痕跡は、犯人も同じくペーターと同じ帰還兵であろうことを告げていた。ペーターは自身の心の闇と向き合うために、自らの手で真相を暴くべくボロボロの心身に鞭打って動き始めるのだが……。
公開された予告編は、第一次世界大戦後のオーストリアの様子が映し出され、ペーターの「戦地から戻ると祖国は変わり果てていた」というセリフから始まる。そして、様々な方法で惨殺される戦友たちや、謎の数字“19”をキーワードに事件を読み解いていくペーターの様子も確認できる。また、全編ブルーバックで撮影された歪んだ背景と映像について、監督は「戦争に破れ世界全体がおかしくなってしまったと感じている主人公の認知の歪みを視覚的に表現している」と語っており、同時にこれは「デジタル版の『カリガリ博士』を描こうと言う試み」だったと語っている。
公開された追加場面写真では、ペーターが窓の外をまっすぐ見つめている姿や、何者かの死体を背景に笑みを浮かべるリヴ・リサ・フリースの姿などが切り取られている。
また、7月21日から本作のムビチケオンライン券が発売されることも決定した。
■公開情報
『ヒンターラント』
9月8日(金)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:ステファン・ルツォヴィツキー
脚本:ロバート・ブッフシュヴェンター、ハンノ・ピンター、ステファン・ルツォヴィツキー
出演:ムラタン・ムスル、リヴ・リサ・フリース、マックス・フォン・デア・グレーベン、マーク・リンパッハ、マルガレーテ・ティーゼル、アーロン・フリエス
撮影:ベネディクト・ノイエンフェルス
編集:オリヴァー・ノイマン
音楽:キャン・バヤニ
プロダクションデザイン:アンドレアス・ソボトカ、マルティン・ライター
衣装:ウリ・サイモン
配給:クロックワークス
2021年/オーストリア・ルクセンブルク/ドイツ語/99分/シネマスコープ/5.1ch/字幕翻訳:吉川美奈子/原題:Hinterland/PG12
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公式サイト: https://klockworx-v.com/hinterland/