石川界人×瀬戸麻沙美×久保ユリカが語る『青ブタ』の魅力 「全員が作品を愛している」
アニメ『青春ブタ野郎』シリーズの続編が、4年ぶりに劇場アニメ『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』としてアニメ化された。本シリーズに触れたことがない人にとっては突飛な作品のように思えてしまうタイトルだが、“青春”に迷い、悩み抜く主人公たちの葛藤に思わず感情移入してしまう名作だ。
原作、TVアニメシリーズファンにとっても待望の劇場版だったが、本作はなぜここまで大きな熱狂が集まるのだろうか。主人公の梓川咲太役を演じる石川界人、桜島麻衣役を演じる瀬戸麻沙美、梓川花楓役を演じる久保ユリカに、役作りから作品に対しての想いまでを聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
スタッフからファンまで全ての人に愛された作品の魅力
ーー本シリーズが4年ぶりにアニメ化されることについて、率直にどう感じていますか?
石川界人(以下、石川):非常に嬉しい気持ちでいっぱいです。それこそ『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』(以下『ゆめみる』)のときも「少なくとも高校生編まではやってほしい」というファンの方たちの声が僕らのもとにも届いていました。なので今回劇場2作という形で高校生編完結までやらせてもらえるのは本当に嬉しいことですし、『青ブタ』を今まで愛し続けてくださっている皆さんのおかげでできることなので、本当に応援してくださる皆さんに心から感謝しています。
久保ユリカ(以下、久保):私としては『ゆめみる』のときは花楓としての性格がはっきりわかるようなセリフがあまりなくて、物語に深く関わってくる状態ではなかったんです。なのでみんなとの掛け合いを楽しむという意味ではかなり久しぶりな感覚もありつつ、そもそも論花楓として色々な会話をするのは、ほぼ初めてに近い状態でもあったので、ある種の新鮮さと、でもどこか懐かしさも感じたり。いろんな気持ちが自分の中で生まれました。
瀬戸麻沙美(以下、瀬戸):アニメシリーズから『ゆめみる』まで翔子さんの存在を取っておいただけに、4年前は『ゆめみる』があって集大成だという感覚がありました。なのでそこまで演じきったときに自分の中でひと区切りついた感じが正直ありました。でもそのときから原作では続きが描かれていましたし、ファンの皆さんのアニメ化への強い思いも届いていました。『ゆめみる』のときにも感じましたけど、やはり劇場版だと物語を映画館という空間でじっくりと楽しむことができるので、それが『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』と『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』と続くことで、これからまだまだ楽しみがあって嬉しい気持ちでいっぱいです。
ーーやはり、ファンの方々の本作にかける熱量は本当に高いですよね。本作の何がここまでファンを夢中にさせるのでしょうか?
石川:もちろん作品の内容や扱うテーマが非常に魅力的だというのがありつつも、何よりスタッフさんもキャストも、制作陣のみんながこの作品をすごく好きなんです。作品にかける熱量がすごく高く、全員が「いいものを作ろう」という気持ちで常にいる。それが観てくださる皆さんに届いていたらいいな、という気持ちなんです。だから、理由はたぶんそこにあるんじゃないかと思っています。スタッフもTVシリーズと『ゆめみる』の方々が再集結していて。いわゆるメインスタッフの方々がほぼ変更されずに集結することって、続編ものだとよっぽどじゃない限りあまりないことなんです。どこかのスタッフさんに変更があることが多いのですが、ほぼ同じ形でやるというのは、スタッフさんも皆さんもこの作品のことを愛しているんだなと思います。
ーー瀬戸さんは作品の魅力についてどう考えていますか?
瀬戸:本当に石川くんが言ってくれたことがあった上で、『青ブタ』はキャラクターもすごく愛されてますよね。それこそ麻衣さんは作中で俳優のお仕事をしている設定なんですけど、その麻衣さんのお誕生日会がファンの皆さんと開かれて、そこに私や石川くんも参加させてもらったことがありました。私にとっては初めての経験で、そういう作品の中に登場する人物のお祝いを皆としたいと思うぐらい愛されてるキャラクターがいるのも、『青ブタ』の魅力だと思います。
久保:公式パンフレットを購入するとドラマCDが聴ける特典があるのですが、そういうものまで原作の鴨志田先生がちゃんと監修してくださっているんです。その中でカラオケに行って歌を歌うという流れがあるのですが、そこも何の歌を歌うのか、となったとき、先生の方から「作品内で出ていない楽曲は嫌だな」とおっしゃられたということを聞きました。私、それがすごく素敵だなと思ったんです。結果、のどかのアイドルグループ・スイートバレットの曲を、麻衣さんと一緒にデュエットしたのですが、そういう細かいところに、石川くんの言う“愛”を感じます。細やかなところまで楽しんでほしいというのを私たちも肌で感じるので、そういう部分を皆さんにも楽しんでもらえるのかなと思います。
ーー作り込みが細かいですよね。久保さん自身はどのように役作りをされましたか?
久保:私としてはかえでのときよりも花楓の方が、すっと理解できたんです。考えてることとか思ってることとか、やろうとしてることとかの気持ちが、個人的にすごく入り込みやすくて。今思うとかえでって本当に夢のような存在だったんだなと、今回花楓をしっかりと演じさせていただいて、気付けた部分でした。
ーー瀬戸さんはどうですか?
瀬戸:今作において麻衣さんは、花楓のことで咲太のことをとても気にかけています。それは咲太が一番近くにいて、花楓のことを考えていることが多いのをひしひしと感じているからこそ。でも麻衣さんも正直に言えば、自分の受験とお仕事も結構忙しそうにしていて、なかなか咲太と会話をする機会が少ない状況にありました。でも、その中でも麻衣さんと咲太が一緒にいるところにはやはり意味があると思っていて。言葉数は少なくても2人が連絡を取り合ったり、少ない時間で会いに行ったりとか、そういう会ってる時間の長さや交わしてる言葉の多さではなく、お互いの存在が“必要”という、そのことが短い時間でも感じられるくらい深まっていると感じました。今までのいろんな出来事があっての今なので、そう感じたのかなと思います。