『らんまん』大東駿介と神木隆之介がそれぞれの戦いを生きる 重なる喜びの陰で不穏な兆し

 寿恵子の悩むシーンが増えてきた。虎の子の千円を印刷機購入に充ててしまい、版元への金が払えない。貧乏暮らしなら先輩格のえい(成海璃子)は、寿恵子の話を聞いて、倉木(大東駿介)とともに万太郎宅を訪れた。倉木が差し出したのは100円が入った包み。第28話で盗まれた植物標本を買い戻す時、倉木に払ったものだった。

「お前もお前の戦をしているんだろう? これを使ってくれ」

 元彰義隊の倉木は、自身の人生を通して戦っている。腐りかけていた時、万太郎によって救われた倉木は、受け取った100円に手を付けなかった。倉木にとって、万太郎からの100円はただの金ではなく、いつか万太郎に報いたいと思っていたのではないだろうか。個人的に、盗まれたものに大金を払って買い戻し、その後隣人として暮らすことに違和感があったので、この展開は納得だった。

 歴史的な新種発表と図鑑発行のかたわらで、寿恵子に妊娠の徴候も見られた。それらと別に歴史に残る騒動が持ち上がろうとしていたが、それはまた次週の話である。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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