酒のつまみ特化の『ワカコ酒』

　『ワカコ酒』は、『孤独のグルメ』の五郎が下戸設定でウィークポイントでもある酒のつまみという観点に特化した作品として人気を博し、現在Season7が放送中。どれも平均して美味しいものばかりだが、どうしても選べと言われたら、Season6の第2夜の揚げ餃子。おしゃれな中華料理店と町中華の対照的な2店に入る回で、1軒目のトローリとした白いクリームに身を包んだ大人のエビマヨも捨てがたいが、2軒目の揚げ餃子が、ひたひたの黒酢餡に溺れた焼き餃子という絶妙なハーモニー。そこに紹興酒をグッと流し込んだワカコも思わず「まさに、中華のコンチェルトや！」と唸る。アニメ『ミスター味っ子』ならワカコは油の中で泳いでいるだろう。この翌週の高円寺の立ち飲み屋の肉豆腐も「何年ものだよ」と言いたくなるほど豆腐が茶色に染み渡っていて、それを大衆酒場でたまに見かけるバイスサワーと一緒に食すレトロ感を味わえる名タッグ。

“これこそ昔の大衆食堂”という雰囲気を味わえる『絶メシロード』

　『絶メシロード』は、絶滅しそうなメシ＝レトロな店の雰囲気込みで味わうというもので、登場するメニューも、ラーメンや餃子、カツ丼といった大衆食堂の料理が多く、良い意味で個性のない懐かしい味を体感する。そうした観点からノスタルジーに浸りたいと思わせたのが、Season1の第7話「パリー食堂」のオムライスだ。ふわトロではない昔ながらの薄焼き卵にケチャップという、個性はないけど期待を裏切らないザ・オムライス。まさにタイムスリップできる一品だ。

　また、Season2の第5話茨城県土浦市「鈴や食堂」のタンメンも。霞ヶ浦の雰囲気の良い場所で、店内は多くの常連で賑わい、並べられたメニューの豊富さは大衆食堂ならでは。民生（濱津隆之）が注文したタンメンはシンプルだが、絶メシとはいえお客さんで賑わう店内は、“これこそ昔の大衆食堂”という雰囲気が体感でき、極上のひと時を味わえる。また、公式YouTube「絶メシバックロード」で、撮影カットがかかっても食べ続けていたり、店主との対談で「今まで食べたタンメンの中で自分の中では一位」と言っていただけに、興味がそそられる。

栗山千明の食べ飲みっぷりがたまらない『晩酌の流儀』

　『晩酌の流儀』は、これまでの孤食系グルメドラマにはあまり見られなかった“自炊”に特化し、どうしたら1日の最後に飲む酒を最高においしく飲めるのかをひたすら追求した作品だ。手料理を金麦片手に栗山千明がとにかく美味しそうに食べ、その飲みっぷりが人気を博している。平均してどの料理も美味しそうなのだが、その中でも推したいのがSeason1の第5話「2種のつけ汁蕎麦」。自宅サウナを準備する中、ネギを切り、鴨を焼き、ホイールで包み、そこから出た鴨の出汁に九条ネギがたっぷりと入ったつけ汁。もう一つはゴマだれでつゆを作る。少し厚めに切った鴨肉を添え完成。うっすらと鴨の脂が浮いたつけ汁に、蕎麦とネギと鴨を一緒につまみ、つるつるっと食べる。ゴマだれにはラー油でちょっと味変しながら蕎麦をすすり、酒を流し込む。蕎麦と日本酒は抜群に合うものだが、発泡酒に鴨南とゴマだれというのもまた乙な食べ方。ぜひマネしたくなる組み合わせだ。

　あくまでも独断と偏見の好みなので、参考程度に見ていただけたらと思う。さて、『晩酌の流儀2』ではどんな神回が待ち受けているのか、これから毎週味わえるのが楽しみだ。

■放送情報
ドラマ25『晩酌の流儀2』
テレビ東京系にて、7月7日（金）スタート 毎週金曜24:52〜25:23放送
ネットもテレ東にて見逃し配信
U-NEXT、Amazon Prime Videoにて各話放送直後より順次見放題配信
出演：栗山千明、武田航平、辻凪子、馬場裕之（ロバート）、ミスターちん、おかやまはじめ
ゲスト出演：青柳翔、秋山楓果、井筒しま、内田慈、岡田義徳、駒木根隆介、博多華丸（博多華丸・大吉）、ブンシリ、前田亜季、槙尾ユウスケ（かもめんたる）、源ガブリエル、村上純（しずる）、吉田晴登
監督：松本拓、二宮崇、佐藤リョウ
脚本：政池洋佑
音楽：渡邊崇
オープニングテーマ：yonawo「焦がれ Night」（Atlantic /Warner Music Japan）
エンディングテーマ：佐藤千亜妃「Cheers!Cheers!」（A.S.A.B）
プロデューサー：松本拓（テレビ東京）、正井彩夏（テレビ東京）、勝俣円（DASH）、中村崇（DASH）
制作：テレビ東京 DASH
©「晩酌の流儀2」製作委員会
公式サイト：https://www.tv-tokyo.co.jp/banshaku2/
公式Twitter：@tx_banshaku
公式Instagram：@tx_banshaku