窪田正孝が『劇場版ラジエーションハウス』で見せた奥行き 世代を代表する名俳優に

 7月3日、『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(フジテレビ系)を映画化した『劇場版ラジエーションハウス』がフジテレビ系で地上波初放送される。病の原因を探り、レントゲンやCTで病変を写し出す放射線技師と、画像を読影して病気を診断する放射線科医たちが所属する放射線科“ラジエーションハウス”を舞台にした異色の医療ドラマの続編となる。本シリーズの主人公・五十嵐唯織(窪田正孝)は、一見普通の青年のように見えるが、実は読影の天才。明るい好青年から、底知れぬ闇を抱えたキャラクターまで、自由自在に演じ分けることができる俳優・窪田正孝の魅力を探る。

 甘春総合病院の放射線技師・唯織は天才的な読影技術を持ち、ほかの人には見えない病原を見つけ出すことができる。唯織は放射線科医の甘春杏(本田翼)を想い続けているが、『劇場版ラジエーションハウス』では、杏がワシントン医大へ留学することになる。彼女の出発までの時間が72時間を切り、唯織が杏との別れまでのカウントダウンを胸に刻もうとする中、唯織への秘めた想いを抱える同僚の広瀬裕乃(広瀬アリス)は自らの進むべき道について悩んでいた。

 劇場版は、唯織を取り巻く恋模様が綴られつつ、大型台風に見舞われた離島に襲いかかる未知の感染症に苦しむ島民を救おうとする唯織たちの奮闘が描かれる。主演の窪田は、ドラマ版よりもスケールアップした本作でも、天才放射線技師の唯織を魅力的に演じている。

 2006年、『チェケラッチョ!! in TOKYO』(フジテレビ系)に主演し、俳優デビューした窪田。筆者が最初に窪田の演技に注目したのは、2008~2009年に放送された『ケータイ捜査官7』(テレビ東京系)だ。携帯電話から変形する小型ロボットとバディを組む少年エージェントの主人公・ケイタを演じる窪田の演技に好感を持った。窪田を抜擢した監督の三池崇史は、「主演に窪田を選んだ理由が10年後に分かる」と語ったという。

 三池監督の予想通り、窪田はその後、数多くのTVドラマや映画で活躍。NHK朝ドラには、2010年度前期の『ゲゲゲの女房』に初出演したのを皮切りに、2014年度前期の『花子とアン』では吉高由里子が演じたヒロイン・はな(花子)の幼なじみで彼女に恋心を抱く朝市という重要なキャラクターを好演。そして、2020年度前期の『エール』では主演を務め、古関裕而をモデルにした作曲家・古山裕一の人生を見事に演じ切った。

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