『水星の魔女』は令和に刻まれる『ガンダム』に 視聴者の予想を覆した多彩なキャラ描写

 プライドの高い俺様キャラで登場し、数々の敗退や挫折の中からその都度立ち上がり、番組初期とはまるで印象が違う男になったグエル・ジェターク。宇宙移民者・スペーシアンを嫌悪していたにも関わらず、いつしかそのスペーシアンの生徒を助けたり、モビルスーツを貸してくれと頭を下げられるようになったチュチュことチュアチュリー・パンランチ。テロ組織の連絡係をやらされていた弱い自分を克服し、新しい夢を見つけたニカ・ナナウラ。

 いずれのキャラクターも、ドラマの進行と共に表情なり言動、考え方に変化が生まれ、視聴者もまたそれを好意的に温かく見守った。こうした登場人物の成長劇は1クールアニメでもやっていないわけではないが、視聴者の体感が3カ月か6カ月かでも、キャラクターの変化に対して受け取る感動は変わってくるというもの。普通の学園アニメなら御曹司キャラの取り巻きポジションだけに終わりそうなフェルシー、ペトラ、セセリアといったサブキャラクターたちにもスポットを当て、みんな根は良い子であること、ただの皮肉屋ではない面なども掘り下げられた。

 『水星の魔女』は従来の国家戦争、宇宙戦争のような大規模な抗争劇こそないものの、学園という箱庭の中で10代の少年少女が苦しみながら成長する、新時代のガンダムであったと思う。メインキャラクターの多くが困難の中で人間的成長を見せ、あるいは初期に視聴者が抱いていた印象を塗り替えるような勇気を示した。スレッタとミオリネの関係性や、サブキャラクターの思いがけない大活躍に一喜一憂する視聴者は、『水星の魔女』の世界にしっかり取り込まれたのだ。この作品の誕生に立ち会うことが出来たファンは、完結に際してどんな感慨を抱くだろうか? スレッタとミオリネの最後の戦いを是非見届けよう。

■放送情報
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』
Season2:MBS/TBS系全国28局ネットにて、毎週日曜17:00〜放送
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:小林寛
出演:市ノ瀬加那(スレッタ・マーキュリー)、Lynn(ミオリネ・レンブラン)、阿座上洋平(グエル・ジェターク)、 花江夏樹(エラン・ケレス)、古川慎(シャディク・ゼネリ)
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン原案:モグモ
メインキャラクターデザイン:田頭真理恵、
キャラクターデザイン:戸井田珠里、高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED、海老川兼武、稲田航、形部一平、寺岡賢司、柳瀬敬之
音楽:大間々昂
©創通・サンライズ・MBS
公式サイト:g-witch.net
公式Twitter:@G_Witch_M
公式TikTok:@g_witch_m

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