『合理的にあり得ない』天海祐希×松下洸平のコンビ芸も見納め? 予定調和超える意外性

 『合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~』(カンテレ・フジテレビ系)第10話では、衝撃の真実が明かされた。

 涼子(天海祐希)の元に届いた差出人不明の動画。目を閉じて座る涼子と、その隣で暗示をかける白衣の男。男の音声は加工されていて、誰だかわからない。数字を聞くと発作的に怒りの感情が湧き上がると男は言う。「3776」という数字に涼子は聞き覚えがあった。忘れもしない涼子が弁護士を辞めるきっかけとなった傷害事件で、涼子が耳にしたのが「3776」であり、その数字を聞いたとたん涼子は別人のようにスイッチが入り、椎名(野間口徹)を執拗に殴り続けたのだった。

 後催眠暗示と言うらしい。丹波(丸山智己)によると「キーワードを言われたら、一定の行動を取るようにかけられる暗示」で「3776」がキーワードになっているようだ。いったい誰が何の目的で涼子に催眠をかけたのか? 答えは第10話の終盤にかけて明かされたが、その鍵を握るのが第9話から本格的に登場した氷川(阿部亮平)だった。氷川は貴山と旧知の仲で、ある意図をもって貴山に近づいた。実は涼子に動画を送りつけたのも氷川だった。

 第10話は、これまででもっとも笑いの要素が少ない放送回だった。笑顔の絶えない上水流エージェンシーが静まり返っている理由は、久実(白石聖)がいないためだけではない。涼子も貴山も人が変わったように険しい顔をしている。さすがにこの展開でおちゃらけやドリフみたいなノリはないだろうと思っていたら、安定の丹波とワクワク不動産社長の山村(温水洋一)がしっかりギャグ要素を注入してくれた。『BOSS』(フジテレビ系)でおなじみの2人が本作の世界観を支えている。

 第1話で関東不動産協会会長を演じた温水の役どころがワクワク不動産社長の山村だったように、ドラマ序盤で仕込んだ謎が解き明かされる伏線回収回の第10話。涼子に後催眠暗示をかけたのはなんと貴山だった。氷川の悪だくみに乗せられ、金目当てでやったことだったが、後に自分がしたことの重大さに気づいてからは、せめてもの罪滅ぼしにと涼子を支えてきた。

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