『合理的にあり得ない』天海祐希×松下洸平のコンビ芸も見納め？　予定調和超える意外性

　貴山を助けにきた涼子の我が身を省みない真剣さだったり、けじめのつけ方はとても格好良く、2人の絆が言葉や動きを含む全身で表現されていた。「その子、うちの子なの。返してくれる？」「そんなことで、私たちの仲がどうにかなるなんて、絶対的にあり得ない」と叫ぶ涼子にとって貴山は慈しみ守るべき存在で、同時に頼れる相棒でもある。視聴者をキュンとさせつつ、時につんのめらせる独特の関係性が見事に言語化されていた。

　氷川の裏にはさらに黒幕がいて、仰天の人物が浮上するのだが、それらの種明かしや涼子が貴山を許す感動の対面以上に、涼子の戦闘データを取り込んで格闘マシーンと化す貴山のAIっぽさや、ロシアンルーレットに本気でびびっている（ように見える）表情が気になったのはここだけの話である。

　第1話から観てこられた方には自明のことと思うが、本作は天海祐希と松下洸平の会話を軸に、多彩な演者を交えながら、予定調和で終わらない意外性を追求する“あり得ない”ドラマだった。解散の危機を乗り越えた2人に私たちが望むのは、コンビ芸の復活である。次週、最終話となる第11話でラスボスを相手にどんな芸当を披露してくれるだろうか。待ち遠しいような、それでいて寂しいような複雑な心境である。

■放送情報
『合理的にあり得ない～探偵・上水流涼子の解明～』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演：天海祐希、松下洸平、白石聖、中川大輔、丸山智己、仲村トオルほか
原作：柚月裕子『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』（講談社文庫）
脚本：根本ノンジ
演出：光野道夫、二宮崇、倉木義典
プロデューサー：萩原崇、清家優輝
音楽：眞鍋昭大
制作協力：ファインエンターテインメント
制作著作：カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト: https://www.ktv.jp/arienai/
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