『らんまん』心のままに生きることを選んだ寿恵子 志尊淳が今後の展開をポロリ?
その姿はまるでユウガオのようだった。夕暮れの十徳長屋に突如現れた寿恵子(浜辺美波)に、健作(渋谷そらじ)は無邪気に「ユウガオのお姫様!」と口にする。木戸門を振り返った万太郎(神木隆之介)が目にしたのは白いドレス姿の寿恵子。『らんまん』(NHK総合)第52話で万太郎と徳永(田中哲司)が『万葉集』から引用した一節「朝顔は朝霧負ひて咲くといへど 夕影にこそ咲きまさりけれ」、さらに万太郎が健作とかの(鈴木凛子)に教えていた「日が暮れてくると、この真っ白なユウガオがよう目立つ。まるで光を集めちゅうみたいに。それに、澄んだ香りがして、夕闇を明るくしゆう」という言葉は、寿恵子が来ることを予言していたかのようだ。
「槙野さん、私来ました!」と万太郎を強く抱きしめる寿恵子。旋花科であるアサガオとヒルガオに比べて、ユウガオは葫蘆科で、一つだけ異なる植物。男性が女性を妻に、妾に、養子に迎えることが当たり前だったこの時代に、ましてや身分が上の高藤(伊礼彼方)の申し入れを断るなど無礼千万であるが、女性が男性を迎えにドレスのまま飛び出してもいいのだということを教えている。それは、例えるならば『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の勇敢なピーチ姫のように。マリオに助けられるばかりではなく、彼らと一緒に大冒険の旅に出てもいいのだ。
舞踏練習会の発足式当日、寿恵子は媚びへつらっているばかりだった高藤に初めて敵意を向ける。「どうして生まれ変わらなくちゃいけないのですか? 私のままでなぜいけないんですか?」と。寿恵子が舞踏練習会に参加したのには、クララ(アナンダ・ジェイコブズ)の存在が大きくあった。学校に通っていない寿恵子にとって、クララは初めての先生。互いに言葉が通じなくても、身振り手振りで熱心にダンスを、その思いを伝えてくれた。寿恵子はクララの手を握り、真っ直ぐ彼女の目を見つめる。
「Live for love――心のままに生きること」。それが、寿恵子がクララから教わった一番大切なこと。寿恵子は「Thank you very much, my teacher」とクララに英語で感謝を述べ、「好きな人」である万太郎の元へと駆けてゆく。その後、高藤にトドメを刺したのは妻の弥江(梅舟惟永)だった。高藤から「妻」という形だけで「女」とすらも見られていなかった弥江。「男と女が対等とおっしゃるけれど、あなたはすぐそばにいる女さえ目に入っていない。この国の行く末を描くのに、女の考えは聞こうともしない。どうぞ、お好きなだけ、お仲間と踊ってらしたら?」と高藤に言葉を投げつける。生まれた国も、身分も違えど、分かりあおうとする気持ちは、寿恵子、クララ、弥江に共通して存在していたように感じる。
“修羅場ってる”高藤家の画は、まさに6月14日放送『あさイチ』(NHK総合)の“朝ドラ受け”でキャスターの博多華丸が「高藤さんがフラれるカウントダウンに入りました」と予測していた通りになった。6月16日の本放送直後には、『あさイチ』の「プレミアムトーク」に竹雄を演じる志尊淳が登場。博多大吉から、「(このタイミングで)『あさイチ』のここに出てくるってことは、今後あまり出番がないんじゃないか?」という視聴者からの率直な意見が伝えられると、志尊は「それで言うと、まぁ、あってるのかもしれないですね」とキャスター陣の予想に反するコメントを展開。「12週、13週は今までの『らんまん』の物語がガラッと変わるし、集大成みたいな話になって、特に13週って竹雄のいろんなこと……」とここで、生放送で喋りすぎな志尊をキャスター陣が制止。つまりは、『らんまん』はまだまだ盛り上がりを見せていくということだ!
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK