『作りたい女と食べたい女』は痛みを掬い上げるドラマだ “恋の行方”を描く続編への期待

 2022年11月から12月にかけて放送された『作りたい女と食べたい女』(NHK総合)の続編が、2024年初頭にNHK夜ドラ枠で放送されることが決定した。前作に引き続き、「作りたい女」野本さんを比嘉愛未、「食べたい女」春日さんを西野恵未が演じる。

 料理好きだが自分は少食で一人暮らしのため、量を気にせず料理を作ることができない野本さん(比嘉愛未)と、食べることが大好きでスーパーから大量の買い物をしてきては、豪快に食べていく春日さん(西野恵未)は、同じマンションの同じ階に住んでいるご近所さん。最初は挨拶をする程度だったふたりだが、ふとしたことから交流が始まり、いつの間にか、野本さんが好きなだけ作った料理を春日さんがペロリと平らげるという互いに遠慮しない、心地良くフェアな関係を築いていく。ふたりで穏やかな日々を過ごしていく中で野本さんは、春日さんへの恋心に気づいていく。本作では、そんな野本さんの恋の行方も描かれるようだ。

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 女性を取り巻く現実や同性の間で育まれる恋愛という難しいテーマが含まれる前作を比嘉と西野は、優しさとあたたかさを保ったまま、見事に表現していた。続編の放送決定にあたり、比嘉は「前作の出逢いで、私生活でも親友となった春日さん役の西野恵未さんを含め、新たな出演者も今回から参加されるのでその出会いも楽しみです」と語り、「心地よい世界観を現場でも画面を通してでもお届けしたいと思っております」とコメントを寄せている。また、前作のオーディションで春日さん役に選ばれた西野は「ドラマが観てくださった方にしっかり届き、お返事を頂けたからこそ再び演じることができるんだな……と感謝の気持ちで一杯になりました」「私にとっても人生初めての“続編”です。笑」と語っている。

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 前作では、女性が女性に恋する瞬間だけではなく、野本さんや春日さんがぐっと飲み込んできた“こういう人はこういうことをするもの、こう考えているもの”という他人からの無意識の偏見も描かれた。野本さんは料理好きな自分のために手作り弁当を作っただけなのに、同僚の男性から「良いお母さんになるタイプ」と言われた。春日さんはお腹いっぱい食べようと訪れた定食屋で、年配の店主から勝手にごはんの量を少なめに調整された。ふたりはその相手の振る舞いにちょっとモヤっとするが、表面上はそのままで「自分のために好きでやってることを全部男のためだって回収されるの、つれ〜な〜」と心の中でのみ悪態をついたり、我慢したりする。こうして良かれと思って言ったことや、やったことが相手を傷つけてしまうことも、ちょっと傷ついたとしても平気なふりをしてしまうことは、性別に関係なく、誰にでもあるものだ。このドラマはそんな“痛み”を掬い上げ、あたたかく包み込んでちょっと和らげてくれた。

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