山田裕貴も絶賛したテレビの枠を超えた“リアル” 『ペントレ』美術スタッフに裏側を聞く

とことん“本物”や“本物に近いもの”を使うこと

――“サバイバル生活”という意味で意識した部分も教えてください。

二見:山田さん演じる直哉もよくたいまつを持って夜どこか行ったりすると思うんですけど、油が染みていない木の棒にタオルを巻いて火をつけても、燃え尽きちゃうじゃないですか。でも「SFの世界で油なんか誰が持ってるんだ」と。そこでサバイバル監修の方と話して、車輪にグリスをかけることにしました。実は、(直哉が)そこから油を拭い取るカットが第2話にあるんです。これによってSFの世界にたいまつが生まれた。でも、その油もいつまでもあるわけじゃない。そこで今度はサバイバル監修の先生の意見で、松ヤニを多く含んだ古来のたいまつ「ファットウッド」を見つけたことにしようと。なので、途中から竹筒の上に「ファットウッド」が付いたたいまつに変わっています。

――原作のないオリジナル作品だからこその楽しさや、やりがいについても聞かせてください。

野中:僕が楽しんだというか苦労した点でもあるんですけど、やはりリアリティを求めたこと。樹海や車両、オープンセットもそうですが、とことん“本物”や“本物に近いもの”を使うことが、僕にとってデザイン的な使命ではありました。

二見:原作ものの場合は漫画を見直したりするんですけど、今回はそれがないわけじゃないですか。だからこそ、監督やプロデューサーと話し合う時間が長くなったなと思うし、自分たちの意見が取り入れられやすい。そういった中で、すごくいい作品づくりができたと思っています。

――現場で撮影が進む中で、「やっぱりこうしよう」「もっとここを広げよう」みたいなことも?

野中:ありましたね。

二見:杉本哲太さん演じる田中が1人で暮らしているところも、実はオープンセットが建っているすぐ近くにある緑山スタジオの山の中に作っているんです。監督が「大きな木の根っこに住ませたい」というので、巨木の根っこをうまく作って、そこに田中が座れるようにして。

野中:ちょっと穴を掘って根っこを出して、苔を生して作り上げましたね。そこに関しては、場所も何もかも、美術側からの提案でした。

二見:あとは第5話に出てくる船も我々が準備しました。今回は、ロケ場所に依存するというよりも、自分たちで「緑山スタジオの敷地内に世界観を作り込むこと」を大事にやっています。ビジュアル面に関しては美術側から提案したことがすごく多いですし、それは我々もちょっと自信持っているところです。

■放送情報
金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:山田裕貴、赤楚衛二、上白石萌歌、井之脇海、古川琴音、藤原丈一郎(なにわ男子)、日向亘、片岡凜、池田優斗、金澤美穂、宮崎秋人、村田秀亮(とろサーモン)、志田彩良、白石隼也、大西礼芳、坪倉由幸(我が家)、山口紗弥加、前田公輝、濱津隆之、杉本哲太、松雪泰子
脚本:金子ありさ
演出:田中健太、岡本伸吾、加藤尚樹
プロデューサー:宮﨑真佐子、丸山いづみ
編成:吉藤芽衣、平岡紗哉
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/p_train823_tbs/
公式Twitter:@p_train823_tbs
公式Instagram:p_train823_tbs

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