『紳士とお嬢さん』は懐かしの“韓ドラあるある”だらけ!? イライラするのに観てしまう理由

 韓国ドラマ『紳士とお嬢さん』が、Netflixランキングを独走中だ。本作は、2021年に韓国で放送され、最高視聴率38.2%を記録した大ヒットホームドラマ。5月1日にNetflixにて配信されるとすぐに「今日のTV番組TOP10」入りを果たし、5月19日現在、1位の座を更新し続けている。

 本作は、妻を亡くした大企業会長の“紳士”と、自分を信じ突き進む“お嬢さん”の年の差ロマンスを中心に、家族のドタバタを描いた、笑いあり、涙あり、キュンあり、イライラ大ありのロマンスコメディ・ホームドラマだ。

 主人公は、チ・ヒョヌ演じるFTグループ会長のイ・ヨングク。ヨングクは、妻を亡くし、3人の子供である、長女ジェニ(チェ・ミョンビン)、長男セチャン(ユ・ジュンソ)、次男セジョン(ソ・ウジン)と、継母や使用人たちとともに豪邸で暮らすシングルファーザーだ。ヨングクは、仕事に追われ、子供たちとの心の距離があいている日々を送っていた。そんなある日、ヨングクは山へ行き、ひとりの女性パク・ダンダン(イ・セヒ)と偶然出会う。互いに悪印象のふたりだったが、後日、ヨングクの子供たちの家庭教師としてダンダンと運命的な再会を果たすことにーー。

 ヨングク、ダンダンが運命的な再会を果たした後から、物語は急速に進んでいくのだが、全76話の長丁場の中に、多数の登場人物が起こす、悲喜こもごものドタバタが、どこか懐かしい“韓国ドラマあるある”のオンパレードとともに描かれる。記憶喪失に、生き別れ、実の親に育ての親、嘘に、家の財力差のある恋、DNA鑑定と、これでもかと詰め込まれた懐かしいあの感じ。そこで起きるお決まりの“韓ドラあるある”に、観ている側は一喜一憂させられる。さらに物語の中で、悪女役を演じるのが、1人ではなく複数いるのも特徴的だ。

 まずは、ヨングクに恋するあまりヴィラネス化する、チョ室長ことチョ・サラ(パク・ハナ)。サラは、ヨングクの家の執事として、子供たちの世話からヨングクの秘書的な役割まで果たしているのだが、密かにヨングクを想い、結婚を望んでいる。そこへ家庭教師として雇われたダンダンが、ヨングクと想い合うことに気づいたときから、嫉妬の炎で黒化し、ヴィラネスとなる。サラには、母親のイ・ギジャ(イ・フィヒャン)がいるのだが、この母も大物ヴィラネスだ。“この母にしてこの娘あり”、“蛙の子は蛙”を絵に描いたような姿を見せるギジャは、観ている側に平静ではいられない感情を抱かせる。

 SNSでも、本作には「とにかくイライラするのに観てしまう」という声が寄せられている。主人公を追い詰めるヴィラネスだけでなく、ヨングクとダンダンの2人も、想い合っているのに、なかなか先に進めないもどかしさに、家族それぞれの思惑が絡まり合う。2人を邪魔する周囲の言動に加えて、嘘をついて2人を引き裂こうする面々によって、じりじりとした展開に追い込まれていく。

 そんな物語の中で、清涼剤となり、観進める原動力となっているのが、3人の子供たちの活躍だ。とにかく子供たちが愛くるしく、すこぶるかわいい! ヨングクとダンダンを取り持とうと行動する姿や言動が涙を誘うのだ。時にキケンな目に遭っても、特に次男のセジョンが、家庭教師ダンダンに見せるいじらしさに、涙腺を刺激される人も多い。SNSでは、「セジョンが泣くたびに、私も一緒に泣いてる」という声も。

 主演のチ・ヒョヌには、不思議な魅力がある。雰囲気がどこかのんびりとして穏やかなのに、カッコよさを感じさせる。チ・ヒョヌは、2001年にギタリストとしてデビュー後、俳優業へ進出し、以降はドラマに映画(日本映画の『ホテル ビーナス』にも出演している)に音楽、バラエティ、ラジオDJと、マルチエンターテイナーとして活躍中だ。なかでも2012年の『イニョン王妃の男』で演じた キム・ブンド役は、今でも抜群の人気を誇るキャラクターであり、チ・ヒョヌの飄々とした魅力と甘いロマンスが堪能できる代表作のひとつだ。

 ヒロインを演じたイ・セヒは、2015年に歌手ナ・ユングォンのMVに出演しデビュー。その後、主演や端役を務めたのち、『賢い医師生活』シーズン2のカン・ソンイェ役で注目された。その後、本作で地上波ドラマの初ヒロインに抜擢され、ひたむきで、健気なダンダンを可愛らしく演じている。本作の人気と演技が評価され、EXOのド・ギョンス主演の『リーガル・クレイジー 真剣勝負』でも主演を務めた。

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