『らんまん』神木隆之介「土佐の野山が、わしの血肉じゃ!」 情熱を語る姿がドラマの肝に

『らんまん』神木隆之介の“熱弁”は必見

 『らんまん』(NHK総合)第33話で、万太郎(神木隆之介)はついに東京大学植物学教室の門をたたき、初代教授・田邊(要潤)と出会う。田邊は野田(田辺誠一)の紹介状に目を通すと、「君の『便宜』とは?」と万太郎に問いかけた。万太郎は土佐から持ってきた植物標本をぜひ田邊に見てほしいと訴える。だが、助教授の徳永(田中哲司)や講師の大窪(今野浩喜)、植物学教室の学生たちは、万太郎が小学校を中退した身であると知り、嘲笑う。万太郎の植物標本を見ることを受け入れた田邊もまた、「土佐の人には恩義がある」「ノブレス・オブリージュという考え方がある。地位ある者には義務がある」と対等ではない立場を示す。

 万太郎は田邊の提案を「ほんなら結構ですき」と断ると、田邊に英語でこう返した。

「あなた方は黙って、わしが世界に打って出るがを眺めちょったらえい」

 植物への思いを軽んじられると、万太郎はそれに強く抗う。それまでたじろいでいたとは思えないほど、万太郎の顔つきが引き締まる。憤りにも感じられる顔つきに変わった万太郎は臆することなく言葉を放った。植物学教室の面々に嘲笑されたことではなく、目の前にある植物標本の意義が伝わらないことに憤ったのだと感じる。「子供の頃から植物が好きゆう気持ちは、誰にも……あなた方にも引けはとらん」「土佐の野山が、わしの血肉じゃ!」ときっぱり言う姿は勇ましい。

 万太郎は植物が絡むと途端に饒舌になる。神木の台詞の言い回しには、万太郎の植物への思い、植物学への思いが強く込められているように感じる。たたずまいにもそれが表れており、植物への情熱をたぎらせているからこその緊張感が周囲に漂っていた。訴えかける場面に緊張が伴うことで、やや長い台詞であっても視聴者を決して飽きさせない。万太郎が熱弁をふるう姿は本作の見どころといえる。

 万太郎は「植物学に尽くしたいゆう思い、この思いに偽りはありません」と懸命に訴えかけ、土佐から持ってきた植物標本と植物目録を手渡した。学生たちは見たことのない植物を前に感嘆の声をあげ、植物の検定を万太郎が引き受けることに肯定的だ。田邊は植物標本と植物目録をじっと見つめ、感心していた。

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