『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』第3作が北米V2 実写版『聖闘士星矢』は第11位に
優れた映画は優れた興行を生む。必ずしもそうとは言い切れないものの、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』はスーパーヒーロー映画として、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品として久しぶりにその可能性を証明した1本だ。
5月12日〜14日の北米週末興行収入ランキングは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』がNo.1、めでたく2週連続の首位となった。3日間の成績は6050万ドルで、前週(1億1841万ドル)比-48.9%という堅実な成績だ。北米興収は2億1320万ドル、海外興収は3億1560万ドルで、世界興収は5億2880万ドルとなっている。
MCUの前作『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023年)は、小品ながら楽しい『アントマン』シリーズの完結編、しかも征服者カーンの初登場作とあって初週は1億610万ドルという好スタートを記録。ところが作品への評価は低く、2週目の成績は前週比-69.9%と大きな下落を見せた。世界興収は4億7576万ドル、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』はこれを2週で抜き去ったことになる。
スーパーヒーロー映画の場合、公開2週目の興行収入が初週からガクンと下がることは珍しくない。これは本稿でもたびたび指摘してきたように、興行の鍵を握るファン層が公開直後に集まりやすいためだ。
しかし、それにしてもコロナ禍のMCU作品は2週目の下落率があまりに大きすぎた。2021年の『ブラック・ウィドウ』は-67.8%、『エターナルズ』は-62.3%、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は-67.5%。2022年の『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は-67%、『ソー:ラブ&サンダー』は-67.7%、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は-63.3%と、軒並み6割以上の下落となっていたのである。
そんな中、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』が-48.9%という下落率にとどまったのは、こうしたスーパーヒーロー映画のジンクスを打ち破るものだ。コロナ禍で唯一の例外となった『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)の-54%よりも優れた成績であるばかりか、『ブラックパンサー』(2018年)の-45%、『マイティ・ソー』(2011年)の-47%に次いで、2週目の下落率が低かった順では歴代第3位。続編映画としてはMCU史上最良の推移である。
こうした粘り強さの背景にあるのは、言わずもがな作品への高評価だ。Rotten Tomatoesでは批評家スコア82%、観客スコア95%という好記録を獲得。批評家による理性的な意見と、ファンによる熱い口コミがきちんと届いたことで、興行の勢いが大きく削がれなかったということだろう。
同等の評価を得た『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』や『シャン・チー/テン・リングスの伝説』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が(下落率を横に置けば)いずれも好ましい興行成績だったことを鑑みても、スーパーヒーロー映画でも「優れた映画が優れた興行を生む」ことがあるのは確か。製作費2億5000万ドルの回収に向け、次週は『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』や実写版『リトル・マーメイド』と対決する。
なお、第2位には『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が6週目にして引き続きランクイン。3日間で1300万ドル、前週比-29.9%とこちらも粘り強い興行を継続中だ。米国興収は5億3595万ドル、世界興収は12億1045万ドル。ともにクリス・プラット主演作品とあって、今年の春はプラットが興行を制したとさえ言える。
今週の初登場作品は、第3位に『また、あなたとブッククラブで』(2018年)の続編映画『Book Club: The Next Chapter(原題)』。3日間で650万ドルという成績は予想を下回るほか、前作の初動成績1358万ドルの約半分という厳しい滑り出しだ。
本作にはダイアン・キートン、ジェーン・フォンダ、キャンディス・バーゲン、メアリー・スティーンバージェン、アンディ・ガルシア、ドン・ジョンソンら前作のキャストが再結集。4人の女性による読書会のイタリア旅行を描く物語で、監督・脚本のビル・ホルダーマンも復帰した。
Rotten Tomatoesでは批評家スコア45%と厳しめの評価だが、観客スコアは85%とまずまずの好成績。観客の出口調査に基づくCinemaScoreでは「B」評価となった。大人の女性をターゲットとするゆえ、「母の日」効果も期待しての封切りとなったが、製作費2000万ドルの回収は道のりが長そうだ。