【ネタバレあり】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』第3作で迎えた最高のフィナーレ
観終わった後、涙が出ていました。悲しい涙ではなく、ガーディアンズのそれぞれの旅立ちが描かれるラストに感無量。最高のフィナーレでした。そう、本作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は、2014年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』から9年にわたる『ガーディアンズ』3部作の最終作です。
したがって、ガーディアンズ以外の要素はほとんどありません。『アントマン&ワスプ:クアントマニア』が『アントマン』映画の3作目であると同時に、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が今フィーチャーしているマルチバースやこれからのヴィランであるカーンを紹介する作品だったのに対し、今回の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は純度100%の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の映画でした。
本作のキーとなるのは、ロケットの過去です。ジェームズ・ガン監督は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の監督を引き受けた時、このロケットの扱いに一番苦労したと言っています。要はアベンジャーズの世界にバッグス・バニー(あのウサギちゃんですね)を持ち込むようなものだと。だからこそロケットの過去に何かある、このキャラは深いバックストーリーを持っていると匂わせたかったそうです。それが1作目で、ロケットが囚人服に着替える時に彼の背中にある、なんらかの手術をうけたような痕跡に表れていました。彼にこの傷を負わせたのは誰か? それが本作のヴィラン、ハイ・エボリューショナリーです。
とにかく進化に取り憑かれたマッドサイエンティスト。自ら作り上げた優性動物、優性人種で完璧な世界を作ろうとしている。しかしうまくいかないとすぐに粛清する。さらに進化を望みながらも自分より優秀な者に対し嫉妬する(ロケットに対してです)というサイコパスです。僕は今まで登場したMCUのヴィランの中でこいつが最低最悪だと思いました。
本当に許しちゃおけねえ奴です。ロケットが話の中心ですが、ロケットの命の危機、そして明かされる過去を通して、ガーディアンズは改めてこのチームが大切な家族だったと気づく。そして素晴らしい家族に恵まれたからこそ、一人一人が自分の人生に向けて旅立てる……。東京コミコンで来日したネビュラ役のカレン・ギランさんが「今回はとても楽しくて美しい物語」と言っていましたが、その“美しい”の意味がよくわかりました。
本作は、“ありのまま”が許せないハイ・エボリューショナリーと“ありのまま”を受け入れるガーディアンズの戦いとなります。と書くと、ちょっとジーンとする映画に思われるかもしれませんが、相変わらず会話劇が楽しいし、そして後半のアクションのカッコいいこと。しばらく子どもや青年だったグルートが、本作では立派な戦士として大活躍(しっかりヴィン・ディーゼルの声です!)。ドッグファイトあり、コマンド戦あり、とガン節がさえます。個人的にはもうちょっとアダム・ウォーロックの活躍に期待していましたが、やはりこれはガーディアンズの映画であり、彼に主役を奪わせたくなかったのでしょう。けれど、アダムがこれからのMCUで活躍してくれることは十分伝わりました。