『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』興行面でも有終の美を飾る 観客から高い支持率
2023年のサマーシーズンが始まった。5月5日〜7日の北米週末興行収入ランキングは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』が堂々のNo.1を獲得。3日間で1億1400万ドルを稼ぎ出し、3部作完結の幕開けを飾った。
本作は、ジェームズ・ガン監督・脚本による『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの最終章。ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタらが卒業を明言しているほか、今後はガン監督も「DCスタジオ」の共同会長兼CEOとしてDCユニバースを統括するため、正真正銘「これが最後」の1作だ。
1億1400万ドルという初動成績は、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の1億4636万ドルに次いで2023年公開作品の第2位。公開前には1億1000万~2000万ドルと予想されていたため、ひとまず予測値から大きなブレのないスタートとなった。
ライバルとなるのは、シリーズやユニバースの過去作だ。MCUの前作『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023年)は初動成績1億610万ドルという好調な滑り出しだったが、新ヴィラン・征服者カーンの初登場というポイントがあったにもかかわらず評価は伸び悩み、興行も失速し、世界興収5億ドルに届かないという痛手を負った。『ガーディアンズ~』は同じ轍を踏まないことがひとつの重要課題だ。
また、シリーズ第1作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年)は初動成績9432万ドル、米国興収3億3371万ドル。第2作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年)は初動成績1億4651万ドル、米国興収3億8981万ドルだった。本作のオープニングは両作の間に位置するもので、ここからどこまで数字を伸ばせるかが見どころだ。もっとも前作の大ヒットは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)を控えていたがゆえでもあり、一部では「実力以上の成績だった」ともみられている。
今後の興行的なポテンシャルに期待がかかるのは、作品への評価がかなり高いためだ。Rotten Tomatoesでは批評家スコア81%と、3部作では最も低い数字ながら、MCUのフェーズ4以降の作品としては、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022年)に次ぐスコア。観客スコア95%、出口調査に基づくCinemaScoreで「A」評価という高支持率にも注目したい。
海外市場では5月5日の北米公開に先駆けて劇場公開がスタートしており、日本でも5月3日の封切りとなった。特筆すべきは、スーパーヒーロー映画の不振が続く中国・韓国で2810万ドル、1360万ドルという好成績を記録し、海外興収1億6810万ドルを達成したこと。現時点での全世界興行収入は2億8210万ドル、これは事前の予想を上回る数字である。
特に優れた成績を示したのは、中国、イギリス(1470万ドル)、韓国、メキシコ(1300万ドル)、フランス(820万ドル)。日本を含む複数の市場では前作超えのスタートとなった。観客からの高評価、海外市場での健闘を受け、ディズニーは本作の興行をやや長期的に捉える姿勢だという。