『らんまん』中村蒼演じる佑一郎に漂う風格 東京でも変わらない万太郎に不穏な兆しも
そして、名教館廃止と同時に、それぞれの“金色の道”に向かって歩き出した2人。小学校には行かず、役人である叔父の元を訪ねて万太郎よりも一足先に上京した佑一郎はまもなく北海道へ渡った。「自然の力は人よりも大きい」という蘭光の教えを肌身に感じながら、札幌農学校で土木工学を学んできたという。
演じる中村蒼の人格者たる風格と物腰の柔らかさは佑一郎があれから歩んできた道のりを思わせると同時に、その力強い眼力の向こうに岩田琉生が演じた少年期の佑一郎が見え隠れした。現在は工部省で東京と高崎間に鉄道を通す仕事をしているという佑一郎。こうと決めたら迷わず突き進む意志の強さに、広大な自然が与えてくれた豊かな心が加わった彼が今後どんなことを成し遂げるのか楽しみだ。
万太郎はそんな佑一郎に叔父の家を下宿先として紹介してもらい、住むことが決まっていた。しかし、漆塗りの重箱入り息子である万太郎は植物標本などの荷物が多すぎるため、いくらか捨ててほしいと言われ断念。結局、自分たちで東京大学近くに住む場所を探すことに。そんな状況でも一切めげることなく、道端に咲くタンポポに目を向けられる余裕のある万太郎の性格は東京という場所で吉と出るか凶と出るか。「東京は佐川とは違う。用心せにゃいかん」という佑一郎のアドバイスが少々不穏に響いた。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK