『どうする家康』松本潤×阿部寛、対照的な演出が面白い 眼光鋭く眞栄田郷敦も登場
一方の信玄は体に不調を覚えているようだが、軍を先導する眼光はむしろ鋭さを増していた。信玄は家康が源三郎を連れ帰ろうとしていることをすでに知っていた。信玄を演じる阿部の佇まいは常に威厳があり、余裕もある。家康のように「どうする」などと狼狽えることは一切なく、価値観こそ違えど、信長(岡田准一)同様、戦に気持ちの昂りを感じているようにも見える。
物語終盤、家康と家臣たちが強い決意を固め、戦に臨まんとする姿で幕を閉じた第16回だが、戦を前にした武田軍と徳川軍の姿が映し出されると、力の差が歴然であることがはっきりと見てとれる。家康を信じる家臣たちの思いは心強くあるものの、信玄が声を上げるのをじっと見つめる山県昌景(橋本さとし)、穴山梅雪(田辺誠一)、信玄の息子・武田四郎勝頼(眞栄田郷敦)、そして軍勢の爛々と光る目に見ていて圧倒されてしまった。三方ヶ原の戦いの火蓋が切られる。
■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK