『波よ聞いてくれ』北村一輝が最高のハマり役 極道からラジオ局員まで自分色に染めあげる
金曜ナイトドラマ『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)で、小芝風花演じる主人公・ミナレの才能を見出し、ラジオ業界に引き込んだラジオ局の制作部チーフディレクター・麻藤を演じている北村一輝。麻藤の程よい胡散臭さを醸し出している北村は、原作ファンからもハマリ役だと評判だ。
ミナレとバーで出会い、酔っ払って失恋話を炸裂させた彼女のトーク力に感心した麻藤は、ラジオとは無縁の素人のミナレをスカウトし、ラジオパーソナリティーに抜擢。普通の人の反応なら、酔っ払いの愚痴などドン引きするところだが、宝物を発見したかのようにほくそ笑み、いきなりラジオ番組にミナレを引っ張り出して、話さなければ放送事故だと脅す麻藤。何を考えているかよく分からないが、ラジオに対する愛着はとても強く、面白い番組を作るためなら手段を選ばない。そんな麻藤に扮する北村は、第1話を観たところ、まさに彼のための役だと感じさせる怪演ぶりだ。
役者を目指すもエキストラの仕事ばかりで挫折しかけたこともあったという北村は、20代後半に三池崇史監督と運命的な出会いを果たし、1999年に三池監督の映画『日本黒社会 LEY LINES』に主演。中国人と日本人の間に生まれ、差別に苦しみながら、自由を求めて暴走する主人公を演じた。
その後も、北村は裏社会を舞台にした作品に出演することが多く、筆者が特に印象に残っているのは、2007年公開の『龍が如く 劇場版』だ。人気ゲームを原作にした映画の中で、北村は「伝説の極道」と呼ばれる元ヤクザの役を演じ、ゲームのキャラクターのようなビジュアルと北村のイメージがマッチしていた。当時、本作でも監督を務めた三池監督と北村に取材したのだが、劇中の印象とは全く異なり、笑顔で取材に応じてくれた北村の優しさが心に残っている。