北米で映画『スーパーマリオ』旋風が止まらない アリ・アスター最新作は賛否真っ二つ

 『スーパーマリオ』旋風が止まらない。4月14日〜4月16日の北米週末興行収入ランキングは、やはり『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』がNo.1。3日間で5823万ドル(前週比-36.9%)を稼ぎ出し、見事3週連続の首位獲得となった。

 3週目の興行成績として、本作は『インクレディブル・ファミリー』(2018年)を抜いてアニメーション映画の新記録を樹立。実写映画を含めば、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)を超えて歴代第7位の記録となっている。なお、ユニバーサル・ピクチャーズ作品としては『ジュラシック・ワールド』(2015年)を上回り歴代最高記録だ。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』©2022 Nintendo and Universal Studios

 現時点での北米興収は4億3432万ドルで、ユニバーサル作品としては『ジュラシック・ワールド』と『E.T.』(1982年)に次いで歴代第3位の大ヒット。言わずもがな、同社のアニメーション作品では『ミニオンズ フィーバー』(2022年)を抜いて歴代新記録となった。なお本作は劇場公開から18日目に4億ドルを突破したが、これはアニメーション映画では『インクレディブル・ファミリー』の15日に次いで歴代第2位の記録である。

 なお海外興収は4億3750万ドルで、世界累計興収は8億7183万ドル。次の週末には10億ドルの大台突破も十分ありうる状況だ。いよいよ日本公開も4月28日に迫っている。

Evil Dead Rise – Final Review Trailer

 第2位に初登場したのは、『スーパーマリオ』と真逆の作品といえる『死霊のはらわた』シリーズ最新作『Evil Dead Rise(原題)』。サム・ライミが1981年に創造した本シリーズも今回で5作目、リブート作『死霊のはらわた』(2013年)以来10年ぶりの新作だ。

 この映画は北米3402館で2350万ドルを記録、事前の予測を上回る結果となった。コロナ禍でヒットした『Cocaine Bear(原題)』(2023年)や『SMILE スマイル』(2022年)、『ブラック・フォン』(2022年)などに肩を並べる滑り出し。海外興収は1680万ドルで、世界興収は4030万ドルとなっている。

 本作は『死霊のはらわた』シリーズの物語を再び一新し、姉妹が家族を悪魔から守るストーリー。監督・脚本は『ホール・イン・ザ・グラウンド』(2019年)のリー・クローニンが務めた。Rotten Tomatoesでは批評家84%・観客80%という好記録を得たほか、出口調査に基づくCinemaScoreでも「B」評価に。賛否割れがちなホラー映画としてはかなりの高評価である。

 製作費は1500~1700万ドルと伝えられており、広報・宣伝費を鑑みても黒字化はほぼ確実だ。当初ワーナー・ブラザースは本作をHBO Maxオリジナル作品として配信しようとしていたが、のちに劇場公開へと切り替えた。この作戦はひとまず功を奏したことになる。

GUY RITCHIE’S THE COVENANT | Official Trailer

 第3位に同じく初登場したのは、ジェイク・ギレンホール主演&ガイ・リッチー監督・脚本という魅力的な顔合わせによる戦争スリラー『The Covenant(原題)』。Rotten Tomatoesでは批評家81%・観客98%という高評価を得ているが、北米2611館で628万ドルという滑り出しはいささか厳しい。そして、この成績が事前の予測通りというところに、大人向け映画がいまだ苦境にあることが表れているだろう。

 本作はギレンホール演じる軍人が、アフガニスタンで自分の通訳を務めた男を助けるべく戦地に舞い戻るストーリー。男性客が全体の58%、55歳以上の観客が約30%という比率からもターゲットの狭さは見て取れるが、それでも作品の評価が高いこと(ガイ・リッチー作品としても久々の大健闘である)から、口コミでの盛り返しに期待したいところ。日本ではキノフィルムズ配給で2024年公開予定と告知されている。

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