『らんまん』『おちょやん』『カムカム』など、朝ドラで描かれてきた姉弟の絆を振り返る
天真爛漫な万太郎(神木隆之介)と、しっかり者の姉・綾(佐久間由衣)。一見対照的な2人だが、姉弟としての関係性は『らんまん』(NHK総合)前半戦において重要なキーとなりそうだ。今回はそんな万太郎と綾について掘り下げていきたい。
そもそも、万太郎は小さいころからマイペース。峰屋の当主にも関わらず、稼業の酒造りにまるで興味を示さず、植物のことで頭がいっぱいだ。おおらかだが気が強い方ではなく、病に伏す母のために花をとりに行くなど優しい一面も。また綾のことは「大事な姉様」と思って育ってきた。綾が女性だからというだけで酒造りに参加できないのをおかしいと思うなど、柔軟な考え方もできる。万太郎は良くも悪くも、「自分の価値観」を持っているのだ。そんな万太郎は、青年になっても当主の自覚に乏しく、綾や周りの人たちに叱られながら、少しずつ成長している。
一方の綾は、幼い頃からしっかり者。病弱な母が早くに亡くなったこともあり、幼少期から万太郎を支えていこうという自覚がある。子供の時から酒造りに興味を持ち、その気持ちの強さは「自分と万太郎が逆だったらよかったのに」と発言するほど。性別を理由に、峰屋で酒造りをすることが叶わない綾には、当主の万太郎に対して自分の思いを託すような気持ちもあるのだろう。そんな姉弟のことを祖母であるタキ(松坂慶子)は、「2人を足して割ったらちょうどいい」と話すのだ。
性格に違いはあれども、2人にはおさえきれない夢があった。時間や立場を忘れて植物に没頭する万太郎と、酒のこととなると縁談をも壊してしまう綾。2人のコントラストこそが万太郎や綾が未来に向けて歩みだすための序章として作品を盛り上げている。
実は近年の朝ドラでも、姉と弟の関係を描いた作品は多数ある。『半分、青い。』(NHK総合)では、ポジティブに様々なことに挑戦するヒロイン・鈴愛(永野芽郁)と、振り回されつつも姉想いの弟・草太(上村海成)が登場。2人は性格も勉強の出来も対照的だが、仲の良い姉弟であった。
倉悠貴、色気を放つ唯一無二の役者に 視聴者に刻まれた『おちょやん』ヨシヲの生き様
終戦から3年、千代(杉咲花)と一平(成田凌)は、家庭劇で地方公演を続けている間も、寛治(前田旺志郎)が満州から帰ってきたときに困…
『おちょやん』(NHK総合)では、ヒロインの千代(杉咲花)と弟のヨシヲ(倉悠貴)が幼少期に離れ離れになってしまう。千代は弟との再会を胸に、過酷な半生を生き抜いたが、皮肉なことにヨシヲのほうは「姉に見捨てられた」と恨んで育った。あまりに悲しいストーリーは視聴者の心を揺さぶっただろう。2人の再会は複雑なものとなったが、やがてはヨシヲが満州の地で、千代にとって大切な存在となった寛治(前田旺志郎)を助け恩返しをすることに。