『クイーンメーカー』キム・ヒエは“黒い世界のシンデレラ” ゲームのような展開に釘付け
一方、弁護士のオ・ギョンスク(ムン・ソリ)は、ウンソングループが非正規女性労働者の多くを解雇したことで、ウンソンデパートの屋上からデモを起こしていた。その姿を鬱陶しく思ったドヒは、ギョンスクを力ずくでどうにかするよう命令する。しかし、部下の死で目を覚ましたドヒが、その計画を阻止しようとするが、ギョンスクは屋上から落ちてしまう。一命を取り留めるが、労働問題に身を投じた英雄として一躍有名になっていくのだった。
そんな対立関係にあり、普通ではない二人が「世の中をよくするため」手を組むことになる。ウンソングループは首都であるソウル全体を牛耳るために、市長選に理事長ペク・ジェミン(リュ・スヨン)を推薦しようとしていることから、ドヒは英雄となったギョンスクを市長選に送り出そうと考えたのだ。
ギョンスクの最大の敵は、もちろんジェミンだが、ドヒの元夫が側近として仕えるソ・ミンジョン(チン・ギョン)も有力候補でありライバルだ。裏の裏をかく戦略であら探しをし合い、貶め合うゲームのような展開は先が読めない。一人、また一人と脱落していく。
本作では、走り回るドヒのハイヒールに目が行くことだろう。記者の前でわざと靴を落とし、注目させるのがドヒの策略だった。しかし自分の靴が脱げてしまい、ギョンスクと共に働くユン・ドンジュ(キ・ドフン)に拾われる。そして野良犬のようにこき使われ、会長の娘二人の尻ぬぐいもさせられる。美しいハイヒールの見かけとは裏腹に、指は痛々しい傷ばかり。ドンギュも言っていたように、まさに黒い世界のシンデレラとでも言えるのではないだろうか。そんなシンデレラが、ギョンスクという魔法使いに出会い、今までの腹いせと「もう誰も死なせたくない」という強い想いを抱くことになるのだった。
実際、ここまでドラマがあって、複数の候補者から複数の不正が明らかになる選挙があったら、すべての人間を信じることができなくなりそうだ。しかしギョンスクのようにまっすぐ、世の中が良くなることだけを考えている人間がいたからこそ、ソウル市民は救われたことだろう。一方で、ファン・ドヒの物語は市長が決まって終わりではなさそうだ。天才的な策略家のドヒは、これからどんな世界に引き込まれることになるのだろうか。
■配信情報
『クイーンメーカー』
Netflixにて独占配信中
出演:キム・ヒエ、ムン・ソリ、リュ・スヨン、ソ・イスク、オク・ジャヨン、ユン・ジヘ、キム・セビョク、イ・ギョンヨン、チン・ギョン、キム・テフン
原作・制作:オ・ジンソク、ムン・ジヨン