加えて注目したいのは、ロケ地やセットの迫力と美しさだ。“別世界にワープする”という設定ゆえに、“誰も見たことのない世界”を映像として魅せるための技量が問われる本作。そんな中で登場人物たちは砂漠、樹海、崖など、岩や太い枝が転がる足場の悪いエリアや、傾斜の多い過酷な場所をサバイブする。荒廃していながらも、どこか美しさを感じさせるロケ地やセットは、赤楚演じる白浜や上白石演じる畑野の生命力と呼応してさらに魅力を増す。実は退廃的な美しさとは一定の支持を得るものであり、廃墟や人気のない森の中に神秘的な魅力を感じる人は少なくないものだ。そんなロケーションの中に役者が入りこみ、芝居を展開していくという贅沢さも本作の見どころとなるだろう。とりわけ、樹海の中を彷徨う山田のミステリアスな魅力は必見だ。

　コロナ禍、戦争、世界がどうなるかわからない不安に晒されてきたのは、リアルを生きる私たちも同じだ。その中で「生きたい」と思う活力はどこから湧いていただろうか。本作は、ふとそんなことと向き合うきっかけをくれる作品になりそうだ。金曜の夜、まだ見ぬ驚きの世界を体験し、そこから何かを感じ取ってほしい。

■放送情報
金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』
TBS系にて、4月21日（金）スタート 毎週金曜22:00～22:54放送
※初回は15分拡大
出演：山田裕貴、赤楚衛二、上白石萌歌、井之脇海、古川琴音、藤原丈一郎（なにわ男子）、日向亘、片岡凜、池田優斗、金澤美穂、宮崎秋人、村田秀亮（とろサーモン）、志田彩良、白石隼也、大西礼芳、坪倉由幸（我が家）、山口紗弥加、前田公輝、濱津隆之、杉本哲太、松雪泰子
脚本：金子ありさ
演出：田中健太、岡本伸吾、加藤尚樹
プロデューサー：宮﨑真佐子、丸山いづみ
編成：吉藤芽衣、平岡紗哉
製作：TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト：https://www.tbs.co.jp/p_train823_tbs/
公式Twitter：＠p_train823_tbs
公式Instagram：p_train823_tbs