『あなたがしてくれなくても』奈緒×岩田剛典が共通の悩みで接近 努力が仇になる夫婦関係

 思わず「ん〜〜!」と腹の底から変な声が出てしまいそうになった。きっとパートナーと少しでもすれ違った経験がある人ならば、共感せずにはいられなかったのではないか。良かれと思って努力するほどに、さらに溝が深まっていく息苦しさ。木曜劇場『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)第2話では、みち(奈緒)と陽一(永山瑛太)、誠(岩田剛典)と楓(田中みな実)、2組の夫婦のすれ違いが生々しく描かれた。

言葉以上に伝わる行動もある

 “セックスレス”という共通の悩みを打ち明け合ったみちと誠は、お互いの痛みを慰め合う仲に。といっても、本当に求められたいのはそれぞれのパートナーであることに変わりない。それを誰よりもわかっているからこそ、2人はすぐさま不倫関係になったりはしなかった。

 ただ、パートナーから拒絶される寂しさ。それをどうやって伝えても届かない虚しさ。そして出口の見えないトンネルをさまよい歩く心細さを、わかってくれる同志、いや「戦友」として。誰にも吐けなかった失敗談や辛い思いを愚痴り合えたらと願ったのだった。

 下着やボディークリームで色気を演出しようとしたり、精力のつく料理を作ってみたり……できることを一つひとつ試してみても「全滅でした」と泣きそうな笑顔を浮かべる2人。そのいじらしい努力の数々は、それぞれのパートナーも気づいていないわけではない。むしろ、それをプレッシャーとして感じていた。それがセックスレス問題の難しいところだ。

 陽一は、みちに「大切な家族だと思ってる」と言った。その言葉は、とてもうれしいもの。けれど、みちはその「大切」という気持ちを、“抱きしめる”という行動で示してほしかった。花のプレゼントが、花そのものよりも、その奥にある“自分のことを想って買ってきてくれた”という気持ちがうれしいのと同じように。

 どんなに言葉を並べるよりも、ひとつの行動によって心が解けていくことがある。「自分を慰めたかったんだと思う」と、みちを誠が抱きしめたのもそうだった。セックスレスが苦しいのは、言葉にならない気持ちを、触れ合うことで伝えられるような気がするから。背を向けられることは、そんなコミュニケーションを取りたい、わかり合いたいという気持ちそのものを拒否されているように感じてしまうから。

見えてきた、レス側の気持ち

 一方で、レスする側としても苦悩も。今回は楓が夫婦の時間よりも、仕事優先になってしまっている理由も明かされた。その大きな要因は、女性がキャリアを積み重ねていく大変さ。一昔前に比べれば男女平等になったとはいえ、どうしても妊娠・出産のタイミングで働き方を見直さなければならないのは女性だ。

 だからこそ、女性は結婚をすれば、いつそうなるともしれないと人員配置にも影響が出る。そんな女性であるというだけで危機感を持ちながら働く楓にとって、家庭的な誠の存在はありがたくもあり、妬ましくもあったのではないだろうか。

 誠は、なんの心配もなくキャリアを築いていくことができる。そんな彼に、必死で働く自分の気持ちなんてわかるわけがない。遅くまで寝ずに待ってくれていることも、丁寧に作ってくれる料理や飲み物も、結婚記念日を祝おうといろいろ手を尽くしてくれることも、誠に余裕があるからこそ。でもその余裕が、今は苛立たしく思えてしまう。そんなことにイライラしても仕方のないことなのに。

 しかし、ついに誠の「今日だけ頑張れない?」という言葉を聞いて、爆発してしまった楓。女性であるハンデを埋めるために神経を張り詰めてクタクタなのに、さらに女としての役目を求めるなんて。妻の頑張りを理解する夫と見せかけて、やはり本音は欲求を満たしたかっただけなんじゃないか、と。

 もちろん私たちは誠が求めるのは、コミュニケーションであることを知っている。両親を見て、誠が対話を重ねて遠慮なく意見を言い合える夫婦にあこがれていることも。だが、今の楓にはその思いが届かない。そのすれ違いに心が痛んだ。

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