芸歴27年のベテラン・神木隆之介が放つ光と闇 『らんまん』万太郎の変化をどう演じる?

 朝ドラ『らんまん』(NHK総合)第3週より、子役の森優理斗、小林優仁から引き継ぎ、ついに主演の神木隆之介が本格登場する。酒蔵「峰屋」の当主である万太郎だが、18歳になっても植物への興味はとどまる所を知らず、ますます植物学に引かれていく。そんな万太郎を好演する神木は、現在29歳だが、すでに芸歴27年という長いキャリアの持ち主だ。

 第3週は、神木のほか、万太郎の姉役で佐久間由衣、お目付け役の竹雄役で志尊淳、万太郎が出会う菓子屋の娘・寿恵子役で浜辺美波、蔵人の幸吉役で笠松将も登場し、主要なキャストが顔をそろえる重要な週。18歳になった万太郎に、どのような変化が訪れるのか見ものだ。

 神木は天真爛漫な万太郎役にピッタリのイメージで、まさにハマり役といった印象だが、幼少期から天才子役と呼ばれるほど高い演技力で有名だった彼は、明るいキャラクターはもちろん、闇を抱えた役も難なくこなす。生まれてすぐに大きな病気を患い、奇跡的に助かったという神木。母親が、息子の生きている証が欲しい、映像や雑誌に載った姿を残したい、という気持ちから子役の事務所に応募し、彼の役者人生が始まった。

 1999年に『グッドニュース』(TBS系)でドラマデビュー。以降、2000年の『涙をふいて』(フジテレビ系)、2001年の『ムコ殿』(フジテレビ系)など、次々と話題作に出演し、名子役として注目を集めてきた。NHK大河ドラマにも、『葵 徳川三代』(2000年)、『義経』(2005年)、『平清盛』(2012年)、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(2019年)と、子ども時代から青年期まで度々出演している神木は、朝ドラには『どんど晴れ』(2007年)に続き、2度目にして主演。まさに、信頼と実績の演技派俳優といった風格だ。

 宇梶剛士とのW主演映画『お父さんのバックドロップ』(2004年)や、単独主演作『妖怪大戦争』(2005年)で見せた神木の愛らしい表情は、幅広い層から人気を呼んだ。青春映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)は、第36回日本アカデミー賞で最優秀作品賞に輝いたが、主人公でオタクの映画部員役の神木の好演は、受賞に大いに貢献したと言えるだろう。

 2010年からの『SPEC』シリーズでは、謎の少年として登場し、驚きの正体が明かされていくニノマエ役を怪演して話題を呼んだ。また、2014年からの『るろうに剣心』シリーズには瀬田宗次郎役で出演し、激しいアクションにも挑戦。2017年公開の映画『3月のライオン』前・後編では、つらく孤独な幼少期を過ごし、中学生で将棋のプロ棋士となった主人公・桐山零役を演じた。3作とも難役で、普段の明るい神木のイメージとは違うキャラクターを卓越した演技力で体現して、観客を圧倒した。

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