『コタローは1人暮らし』が帰ってきた! 変わらない横山裕とたくましくなった川原瑛都

 期待と不安が入り乱れる季節がやってきた。卒業や入学、引っ越しや人事異動など、なにかと環境の変化が多い4月は、新しい出会いに期待をしたかと思えば、環境の変化にちょっぴり不安を抱いてしまったりする。そんな春をどうにか乗り越えようと踏ん張る私たちのもとに、“あの”コタロー(川原瑛都)が帰ってきてくれた。

 2021年4月期に放送された『コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)を、リアルタイムで追いかけていた人はいるだろうか。毎週土曜日の深夜、コタローと狩野(横山裕)、そしてアパートの清水の住人たちによるハートフル・コメディを楽しんだあとは、まるで温かい飲み物を飲んだあとのように、心がぽかぽかしたことを思い出す。そして、そのぬくもりに包まれたまま眠りにつくのが、なんとも心地よかった。

 だからこそ、続編『帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)の放送が4月期に決まった時は、すごく心強かった。また、彼らとともに春を乗り越えられるなんて……と。たとえ、浮かれ気分の波に乗れなくても、孤独を感じることがあっても、ドラマが放送されている期間は強くなれる。“帰る場所”として、安心感を与えてくれる、そんな不思議な力が、このドラマには備わっているのだ。

 第1話を観て、コタローを見守るアパート清水の住人たちの変わらなさに安心した。とくに、狩野のビジュアルはすごい。約2年が経っているのに、時が止まっていたかのように“あの頃”のまま。コタローと一緒に朝ごはんを食べる序盤のシーンなんかは、「あれ? これは前作の映像だっけ?」と錯覚してしまうほどだった。コタローが、「狩野殿。おぬし、まったく変わっておらぬ」と言うのも無理はない。きっと、演じている横山裕は当時の感覚を取り戻すために並々ならぬ努力を重ねたのだろう。

 その一方で、変わったのがコタローだ。大好きなアニメ『とのさまん』のマネをして、「わらわ」「おぬし」といった“殿様語”を話すのは変わらないけれど、小学生になった彼はより一層たくましくなった。もう、狩野が仕事に追われながら、幼稚園の送り迎えをする必要もない。お弁当だって、作らなくてもいい。生活にゆとりができたはずなのに、どこか寂しげな狩野とアパートの清水の住人たち。彼らを見ていると、“親”というのは産んだからといってすぐになれるものではないことを思い知らされる。ゆっくり、ゆっくり、その子どもを大事に思って愛を注いでいく時間が、人を“親”にしていくのだと。

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