横山裕が原作を忠実に再現した『コタローは1人暮らし』 コタローが真実を知る日は来る?

 2021年4月期に放送された、横山裕主演のドラマ『コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)。累計発行部数170万部(コミックス既刊9巻)を突破した、津村マミによる同名人気漫画を原作とし、オシドラサタデー枠において歴代最高視聴率を記録するヒットとなった同作が、4月15日より続編『帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし』として帰ってくる。コタロー(川原瑛都)、狩野(横山裕)、そして「アパートの清水」のみんなに、また会えるのだ。

 前作『コタローは1人暮らし』は現在、TELASAおよびNetflixにて全話視聴することができる。本作のいちファンとして、できれば観てもらいたい。よって、本稿では詳細なネタバレを避けた上で、続編に期待を寄せたい。

 物語は、「アパートの清水」の202号室に住む売れない漫画家・狩野の隣に、さとうコタローが引っ越してくるところから始まる。アニメ『とのさまん』が大好きで、腰におもちゃの刀を差し、“殿様語”を話す5歳(ドラマ設定)のコタロー。見た目こそ幼いが、高級ティッシュを手土産に丁寧に挨拶をする姿は、大人顔負けだ。

 どう考えてもワケありなコタローの1人暮らし。自分には関係ないと思いつつも、狩野は放っておけない。「銭湯」の存在をコタローに教えたのも、髪を洗ってやったのも、狩野にとっては何気ないことであったが、どこか「普通」ではないコタローの言葉や反応が気にかかる。

 自堕落な暮らしを送る狩野と、規則正しく生活するしっかり者のコタロー。親のいない狩野と、「親はおったがおらぬ」と言うコタロー。幼稚園児と対等に張り合う子どもっぽい大人と、子どもではいられなかった大人びた子ども。狩野とコタローの、2人合わせてちょうどいい暮らしが始まった。

 そして「アパートの清水」に住む、これまたワケありだが心あたたかな住人たちや、「優しい人からの寄付」の名目で、コタローのもとに生活費として“あるお金”を届ける弁護士・小林(百田夏菜子)も、大人としてコタローの1人暮らしにずんずんと関わりながら、ときにコタローから大切なことを教えられる。くすっと笑えるのに、ふいに切なく、うっすらと悲しみを帯びたストーリー。けれど不思議と、心にはじんわりとあたたかなものが残り、優しい気持ちになれる作品だ。あらすじやネタバレだけを見て「悲しい物語なのでは」と、敬遠しないでもらえるとうれしい。

 本作に登場するキャラクターたちは、大家である清水のじーさん・ばーさんを除けばみな1人暮らしだけれど、だれも1人では生きていない。前作の狩野の言葉を借りれば「トントン」。人間はみなそうして生きているのだと、当たり前だけれど見失いがちなことを、きっと思い出させてくれるはずだ。

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