『らんまん』森優理斗演じる万太郎が背負う当主の重責 踏まれて強くなるオオバコの心

 酒蔵を塩と酒で清めた上、綾自身も食事を抜かれて部屋に閉じ込められる。万太郎が許してほしいといくら頼んでもタキは聞いてくれない。「酒蔵には酒蔵の掟があるがじゃき」とタキ。そうなのだ。小さくても万太郎は峰屋の当主で、祖母と父を早くに亡くし、母のヒサ(広末涼子)も長患いで病床にある。涙を見せない綾はヒサが長くないと覚り、人がいないところで泣きじゃくる。万太郎の両肩にのしかかるものは重いが、それでも避けられない運命に抗い、母のために花を探そうとする。

 万太郎、綾、竹雄。子どもながらにそれぞれの現実に直面し、その意味をずっしり受け止めている。番頭の息子として奉公に励む竹雄は、早くも万太郎に振り回され気味で先が思いやられる。酒蔵に入った瞬間、綾が感じた胸の高鳴りは峰屋の未来につながるものだろうか。足元のオオバコに気付いた万太郎は目線が下を向いていて、偶然出会った天狗/坂本龍馬(ディーン・フジオカ)はその目を上へ向けさせたが、大地に根を張る存在に目を向けられるのは万太郎の良い部分である。ふと漏れた「強いのう。踏まれて強うなるがじゃろうか」のつぶやきが苦難に負けない歩みを予感させた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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