『ダンジョンズ&ドラゴンズ』最高のコメディ映画として大成功 クリーチャーの造形も秀逸

 そして、その結果はーー。興行に関しては今月末の日本を含む世界同時公開を待たなければならないが、ワールドプレミアの舞台となったSXSW 2023における批評家、そして観客からの熱狂的なリアクションを見る限り大成功と言っていいだろう。自分も一足先に観させてもらったのだが、とにかく驚いたのは最初から最後まで全編ギャグまみれでありながら、ほとんど一度もスベってないのではないかと思えるほどの、その恐しく精度の高い脚本の完成度だった。その脚本の妙を血肉化して、真顔を崩さず完璧な間で演じきっているキャスト陣のパフォーマンスも見事。しっかり美味しいところをもっていくヒュー・グラントの達者ぶりは周知の通りだが、クリス・パインやミシェル・ロドリゲスがこんなコメディセンスの持ち主だったとは!

 さらに、監督としてのジョナサン・ゴールドスタインとジョン・フランシス・デイリーの意地を感じさせられたのは、結果的に彼らを足蹴にしてきたマーベル作品やDC作品に勝るとも劣らない、いや、マーベル作品やDC作品の近作と比べるなら確実に勝っていると言ってしまってもいい、物語への興奮を持続させてくれるCGアクションシーンの秀逸さと、次から次へと数えきれないほど出てくるクリーチャーたちの魅力的な造形だ。

 と、ここまで書いてきて、「じゃあ、テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の映像化としてはどうなんだ?」と気になった人もいるだろう。もうね、あんなマニアックなファンダムを抱えたゲーム(『ストレンジャー・シングス』シーズン4のせいでさらにその印象が強化されてしまった)のことなんて、門外漢が迂闊に発言できるもんじゃないですよ。一つだけ言えるのは、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のことを何も知らなくても十分に楽しいけれど、ゲームの内容やキャラクターに詳しければ詳しいほどさらに楽しめるんだろうな、と上映中に何度も何度も思ったということ。というわけで、今回の『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』がゲームへの入り口になる人が世界中で大増殖することになるんじゃないでしょうか。まずは、一緒にやってくれる仲間を見つけなくてはいけないけれど。

■公開情報
『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』
3月31日(金)全国公開
監督・脚本:ジョン・フランシス・デイリー、ジョナサン・ゴールドスタイン
出演: クリス・パイン、ミシェル・ロドリゲス、ジャスティス・スミス、ソフィア・リリス、ヒュー・グラント
配給:東和ピクチャーズ
©2022 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, DUNGEONS & DRAGONS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO. ©2022 HASBRO.
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