『舞いあがれ!』“五島一筋”のばんばが踏み出した新たな一歩 再登場の玉本はまるで別人に

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第24週のタイトルは「ばんばの歩み」。五島を離れ東大阪でめぐみ(永作博美)や舞(福原遥)たちと暮らすことを決めた祥子(高畑淳子)の新たな一歩と、舞と貴司(赤楚衛二)の間に生まれた「歩(あゆみ)」にかけたダブルミーニングだろう。

 瀬渡し船「めぐみ丸」で観光客を迎え入れ、五島の素晴らしさを伝えること、五島で暮らすことそのものが生きがいにあった祥子。東大阪の人々に歓迎され、歩(木下結愛)という愛しい孫と暮らす新たな喜びを感じつつも、笠巻(古舘寛治)の「やることないっちゅうんはしんどうてなぁ」という一言が他人事ではなく突き刺さっていた。

 株式会社IWAKURAを定年退職して、娘の佐知子(吉田真由)、孫の正行(高田幸季)と一緒に過ごす喜びを見つけた笠巻は、祥子と似た境遇にある。職人としてネジ一筋だった笠巻に対して、言ってみれば祥子は五島一筋。行きたいこと、やりたいことを舞から聞かれても、どの方角に始めの一歩を踏み出せばいいか分からないところにいた。

 「うめづ」のお好み焼き、笠巻からのお裾分けのりんごを使ったジャム作り、壊れていたラジオの修理。ゆっくりと家族の時間が過ぎていくなかで、祥子が見つけた新たな趣味が読書だった。貴司と一緒に訪れた古本屋「デラシネ」。本にあまり馴染みがなかった祥子は、貴司から勧められた沢村貞子『私の台所』に齧り付くように夢中になる。まさに本の虫というようにして。

 第116話はこの祥子の確かな歩みを描いた前編と、久しぶりに登場するある人物たちの後編で構成されている。久々の再登場となるのが、刈谷(高杉真宙)と玉本(細川岳)。人力飛行機サークル「なにわバードマン」で舞と汗と涙の青春の日々を過ごした大切な仲間たちだ。刈谷は学生の頃とさほど変わりはないが、パーマに髭が印象的だった玉本はすっかり別人と化している。この日の『あさイチ』の「プレミアムトーク」に出演した福原遥も“朝ドラ受け”からの流れで、「私も久々に会って分からなくて、『はじめまして。福原遥です』って(笑)」と撮影裏でのエピソードを明かしていたほどだ。

関連記事