『舞いあがれ!』古舘寛治が温かな時間を過ごす 第21週は新たな夢に向けた滑走期間に
『舞いあがれ!』(NHK総合)第101話では、舞(福原遥)や東大阪市の町おこしを担当する職員でなにわバードマンのOBでもある安川(駿河太郎)、さらに元なにわバードマンであり浪速大学で都市ブランディングを専門に准教授となった渥美(松尾鯉太郎)が中心となったオープンファクトリーが開催される。スローガンは「町工場がスクラムを組む 東大阪町工場フェスタ」。騒音問題を例に住民から不安視される工場を知ってもらい、同時にモノづくりの楽しさ、素晴らしさを発信する目的もある。
「音」「匂い」「迫力」が体感できる株式会社IWAKURAの工場見学は社長のめぐみ(永作博美)が担当。公園前のビルの2階を貸りて行われるモノづくり体験は舞が中心となり、東大阪の工場で出来たネジや金属加工品を使ってオリジナルの模型飛行機が作成できる。職人として作り方を教えるのはIWAKURAを退職したばかりの笠巻(古舘寛治)。そこに娘の佐知子(吉田真由)、孫の正行(高田幸季)がやってくる。
寡黙で職人気質な笠巻は、一見すると近寄り難いイメージがある。その印象が拭えずに、佐知子は実家から遠ざかり、正行もおじいちゃんに「怖い」という印象を抱いていた。『舞いあがれ!』がここまで伝えてきたのは、舞や貴司(赤楚衛二)、柏木(目黒蓮)、大河内(吉川晃司)、さらにはリュー北條(川島潤哉)まで、人の本質は一面だけでは見えてこないということ。家族にとっては堅物のように思っていた笠巻も、好きなものに向き合っている時間は、優しいおじいちゃんになる。ネジで作られた模型飛行機、そしてかわいい自身の孫。一緒に作るためにプラモデルを買いこんでいた笠巻にとっては待ち焦がれていた瞬間だ。
たっぷりの尺で描かれる祖父と孫、2人の温かな時間。飛行機が好きということも相まって、気づけば正行には笑みが浮かんでいる。そんな正行に笠巻が投げかける「今度、プラモデルの飛行機作ってみるか?」はずっと言い出せなかった思いだ。長年ネジ一筋で生きてきた笠巻にも、孫と過ごすという次の楽しみが見つかった。