『THE FIRST SLAM DUNK』は濃密な“試合観戦”だ 原作未読だからこそ体験できた熱狂

 スポーツ観戦は、特に観戦者側がルールを詳細に把握できていないと、いわゆるスーパープレーにばかり注目が集まりやすい。もちろんこれらが素晴らしいプレーであることに変わりはない。だが、選手の性格やバックグラウンドを知ることで親近感を抱き、些細なプレーひとつをとっても熱狂してしまう、というような体験こそが醍醐味でもある。

 『THE FIRST SLAM DUNK』は、目まぐるしく展開が変わる試合の中で、その都度選手たちの心情やプレーを裏付ける過去を回想する。それは過去の怪我や、先輩との大会に対する意識のすれ違い、家族との関わりを中心に描かれる思春期の成長など様々だ。前述のような「人間がそこにいる」ような表現が試合外でも随所に描かれ、その中でひとりひとりの人生を垣間見ながら試合が進んでいくと、彼らに感情移入し、自ずと選手たちからどんどん目が離せなくなっていくのだ。

 正直なところ、意を決して映画館に赴くまでは「やっぱり原作を読んでから鑑賞した方が楽しめるのではないか……」と二の足を踏んでいた。原作ファンの熱量が高い作品こそそういった足踏みをしがちだが、今回はむしろ「逆に知らないまま観ることができてよかったかもしれない」と思うことができた。

『THE FIRST SLAM DUNK』が乗り越えた、「漫画原作アニメーション映画」のジレンマ

高校バスケットボールを題材とした、井上雄彦原作の大ヒット漫画『SLAM DUNK』。90年代に『週刊少年ジャンプ』で連載を続け、…

 それは、漫画の3D化とリアリティが絶妙なバランスで融合した試合映像に加え、コートを駆ける選手たちと並走する形で彼らの過去や試合に懸ける想いを知っていったことで、1秒先さえ知らない展開を手に汗握りながら「観戦」したからに他ならない。

■公開情報
『THE FIRST SLAM DUNK』
全国公開中
原作・脚本・監督:井上雄彦
演出:宮原直樹、大橋聡雄、元田康弘、菅沼芙実彦、鎌谷悠、北田勝彦
CGディレクター:中沢大樹
キャラクターデザイン・作画監督:江原康之、井上雄彦
サブキャラクターデザイン:番由紀子
キャラクターモデリングスーパーバイザー:吉國圭
BG&プロップモデリングスーパーバイザー:佐藤裕記
テクニカル&リギングスーパーバイザー:西谷浩人
シニアアニメーションスーパーバイザー:松井一樹
テクニカルアニメーションスーパーバイザー:牧野快
シミュレーションスーパーバイザー:小川大祐
エフェクトスーパーバイザー:松浦太郎
シニアライティングコンポジットスーパーバイザー:木全俊明
ライティングコンポジットスーパーバイザー:新井啓介、鎌田匡晃
美術監督:小倉一男
美術設定:須江信人、綱頭瑛子
色彩設計:古性史織、中野尚美
撮影監督:中村俊介
編集:瀧田隆一
音響演出:笠松広司
録音:名倉靖
キャスティングプロデューサー:杉山好美
音楽プロデューサー:小池隆太
2Dプロデューサー:毛利健太郎
CGプロデューサー:小倉裕太
制作統括:北﨑広実、氷見武士
アニメーションプロデューサー:西川和宏
プロデューサー:松井俊之
声:仲村宗悟、笠間淳、神尾晋一郎、木村昴、三宅健太
オープニング主題歌:The Birthday(UNIVERSAL SIGMA)
エンディング主題歌:10-FEET(EMI Records)
音楽:武部聡志、TAKUMA(10-FEET)
製作:2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners
アニメーション制作:東映アニメーション/ダンデライオンアニメーションスタジオ
©I.T.PLANNING,INC. ©2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners
公式サイト:https://slamdunk-movie.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/movie_slamdunk/
公式Instagram:https://www.instagram.com/slamdunk_movie/
公式Facebook:https://www.facebook.com/movie.slamdunk/
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