『舞いあがれ!』赤楚衛二、キュートな魅力から思わぬ色香 視聴者の心を掴んできた貴司

 連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)の第17週となる「大きな夢に向かって」が放送された。第76話から4年が経過し、舞(福原遥)はすっかりIWAKURAにとって頼もしい存在に。長い髪をハーフアップにまとめ、落ち着いた色のスーツ姿で営業に回る姿も板についている。とうとう父・浩太(高橋克典)の夢であった航空機部品の製造にも挑戦し、新たな夢に向かって邁進していた。

 4年の年月は、舞やIWAKURAだけでなく幼なじみの久留美(山下美月)や貴司(赤楚衛二)にも人生の岐路となる出来事をもたらす。久留美はかねてから交際していた医師・八神(中川大輔)と順調に愛を育み、プロポーズされることに。これまで苦労も多かった久留美だからこそ、ぜひとも幸せを掴んでほしい。

 そして大きな話題となったのが貴司の姿だろう。月曜日の放送では、うっすらと髭を蓄え登場。これまでキュートな魅力で多くの視聴者の心を掴んできた貴司の思わぬ色香漂う姿にSNSで言及する視聴者も多かった。シャツの首元のボタンを一つだけはずし、無造作に腕まくりをする姿には、彼の個性と大人の魅力が表れはじめている。かつて「少年」だった幼なじみという存在が徐々に変化を見せつつあることが見て取れた。

 八木のおっちゃん(又吉直樹)から託されたデラシネを守り続ける貴司の元には、かつての貴司のような子供たちが訪れている。自分がそうであったように、子供たちの居場所を作り続ける心優しい貴司。しかしその心中には、密かな葛藤もあるのだろう。貴司は長山短歌賞に応募することを決めるが、それは自分の作品が批評の対象にされることでもある。自分の大切なものに全力で向き合わなければならないことに、恐怖やプレッシャーも感じたのではないか。

 結果として貴司は短歌界の芥川賞と呼ばれるほど大きなタイトルを獲得することに。もちろん喜ばしいことだが、受賞の電話を受けた貴司はまだ実感の湧かないような表情を見せる。それは賞を取るのを目的としていたわけでなく、純粋により良い短歌を作るために挑戦しただけだから。受賞は貴司が有り余る才能を持ち合わせていたことや、独自の感性を磨き続けてきた賜物だろう。それを近くで見守ってきた舞の「いい歌を作りたいと頑張ってきた努力が実った」という表現が一番しっくりくる。運や才能だけでなく、なるべくして手に入れた評価なのだ。

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