『相棒』寺脇康文演じる亀山に視聴者が魅了されてしまう理由 変わらない情熱と優しさ

 また、亀山は無鉄砲な行動をしていなくても、なぜか事件に巻き込まれやすいタイプでもある。元日スペシャルでは、右京が中学生のころ書いたミステリー小説「亡霊たちの咆哮」をきっかけに、亀山が誘拐され、足の骨を折られた『season4』での事件の映像が一瞬映し出された。SNSで、往年のファンからも「懐かしい話が出てきた」と話題となったこの事件は、「特命係の捜査能力を絶賛する記事に書かれた人物は、自分ではなく、亀山だ」と右京が犯人に嘘をついたことから始まっている。

 つまり、亀山は、いつも何かと心配になるし、ちょっと可哀想になる時もあるのだ。だが、これまでの『season21』のエピソードからもわかるように、亀山には情熱と優しさがある。そこが視聴者を惹きつけてやまないのだろう。元日スペシャルでは、悪徳政治家の息子であるが、自身も政治家を目指すという男に励ましの言葉を贈り、第5話では、誤解から研究室の爆破や教授の監禁事件を起こしてしまった大学生に諭すような言葉をかけている。そんな優しい熱血漢である亀山の性格をよくわかっているからなのか、右京は、自分が厳しいことを言う場合、亀山にフォローを任せている側面がある。何も言わなくても役割分担がきちんとできている。まさしく“相棒”のあるべき姿である。

 特命係は警視庁の組織の中で、どこの部署にも所属していないため、厳密には捜査権がない。だから、亀山が嘱託職員から、警察官になったとしても、実は状況はたいして変わらないのだが、それはそれとして、新たな門出を迎えた特命係の今後の捜査に期待していきたい。

■放送情報
『相棒 season21』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00~21:54放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、田中隆三、神保悟志、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ほか
エグゼクティブプロデューサー:桑田潔
チーフプロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真通
脚本:輿水泰弘ほか
監督:橋本一ほか
音楽:池頼広
制作:テレビ朝日、東映
©テレビ朝日・東映
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
公式Twitter:@AibouNow

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