石田ゆり子と吉田羊が今、歌う理由 長年のキャリアを経ても止まらない挑戦

 そうした自然体な生き方が魅力の石田に、かねてより羨望の眼差しを向けているのが吉田羊だ。二人といえば、今年1月期に放送されたドラマ『妻、小学生になる。』(TBS系)で主人公である圭介(堤真一)の亡くなった妻・貴恵を石田、その貴恵の“生まれ変わり”である万理華(毎田暖乃)の母・千嘉を吉田が演じたのが記憶に新しい。プライベートも親交のある二人だが、吉田は2011年の様々なメディアの取材で“憧れの人”として石田の名前を挙げており、トーク番組『A-Studio』(TBS系/2019年10月20日放送回)に出演した際にも石田になりたくて本人から聞いたライフスタイルを全て真似したことを明かしている。

 そんな憧れの石田と同様に、吉田も今年初となるオリジナル楽曲「coloful」をリリースした。吉田は2018年に“HITSUJI”名義で友人であるJUJUの楽曲「かわいそうだよね(with HITSUJI)」にも参加しており、以前から低音域の大人な魅力溢れる歌声に定評がある。「coloful」は2020年の緊急事態宣言下に制作された楽曲で、作詞は吉田が手がけ、作曲はINIMIが担当。切なくも温かみのある吉田の声に乗って届く、当たり前のようで当たり前ではなかった幸せについて描かれた歌詞が胸に響く。

 自身初の音楽コンサートも2022年9月に開催されており、石田と同じく、今年でデビュー25周年という節目のタイミングで新しいステージに立った吉田。役の上ではクールなイメージのある彼女だが、バラエティ番組などでは、お酒とお喋りが大好きなユーモアがありチャーミングな人柄が見える。纏う雰囲気はそれぞれ違っても、自分の人生を謳歌しているという点において石田と共通する部分がある。実際に、憧れる年上の女性として吉田の名前を挙げる人も多い。その理由の一つとして、彼女が長い下積み時代を経てブレイクを果たした遅咲きの女優であることも挙げられるだろう。

 いくつになっても挑戦を止めず、むしろ年々輝きを増していくように思える吉田や石田の存在は、『逃げ恥』でも語られていた「若さに価値がある」という“呪い”から私たちを解き放ってくれる。彼女たちの音楽活動もまたその“希望”の一つでもあるのだ。2022年ももうすぐ終わるが、年を重ねることに憂鬱になってしまう時は二人の生き様が詰まった歌声に酔いしれたい。

関連記事