『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』北米首位 ホリデーシーズンで前作超えなるか?

 ホリデーシーズンの真打ちが、いよいよ満を持しての登場である。12月16日~18日の北米週末興行収入ランキングは、ジェームズ・キャメロン監督の最新作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が予想通りのNo.1。週末の3日間で1億3400万ドルを稼ぎ出した。

 本作は、世界興収記録の歴代No.1を誇る『アバター』(2009年)の13年ぶりとなる続編。ディズニーが20世紀フォックスを買収した理由のひとつが、この『アバター』シリーズだったとさえ言われる、いわば肝いりの一作である。

 長年にわたって製作が続けられてきたため、本作の製作費は3億5000万~4億ドルとも、あるいは宣伝費を除いて4億6000万ドル(約626億円)ともいわれる。20世紀スタジオは正確な金額を発表していないが、過去にはキャメロン監督自身が「世界興収の歴代3位が損益分岐点」と語った――つまりは約20億ドルの収入でようやく黒字になるという――底抜けのスケールだ。前作の世界興収は29億2291万ドル(再上映含む)、この記録を破ることができるか。

 もっとも『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の滑り出しは、この目標に対してはやや渋い。公開前の時点では、北米の初動成績は1億5000万~1億7500万ドルと予想されていたからだ。また現時点での海外興収は3億50万ドルのため、世界累計興収は4億3450万ドル。コロナ禍の世界初動成績としては『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)と『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022年)に続いて第3位だが、こちらも4億5000万~5億5000万ドルという予想値をやや下回った。

 もっとも、だからといって『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が前作超えを達成できないわけではない。前作も北米市場の初動成績は7702万ドルで、上々のスタートとは決して言えなかったのだ。それが3D映画の物珍しさもあり、歴代記録を打ち立てるほどの大ヒットとなった。『タイタニック』(1997年)しかり、キャメロン監督はときに時間をかけて大成功をつかみ取るのである。

 その兆候はすでに表れている。本作は観客から大きな支持を得ており、Rotten Tomatoesでは批評家スコアが77%なのに対し、観客スコアは93%という高成績。劇場の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」評価を獲得した。また、公開日の12月16日と翌17日を比較すると、興収の下落率はわずか16%にとどまっている。

 さらに本作を後押しするのは「ホリデーシーズン」そのものだ。いよいよ年末年始に突入する北米映画市場では、1年のラスト2週間から新年にかけて、毎日が通常の土曜日のような興行状況になるという。前作『アバター』も『タイタニック』もこの効果を受けて大ヒットしたのであり、キャメロン監督が12月公開にこだわるのもこのためなのである。

 Deadlineによると、キャメロンと過去に仕事をしたことのあるスタジオ幹部のひとりは「ジェームズ・キャメロンが失敗する方に賭けてはいけない」と語ったという。ディズニーの劇場配給部門を統括するトニー・チェンバースも「(作品の)評判は上々。映画の完成度は高く、スクリーンは多い。明らかに有利なホリデーシーズンです」と自信満々だ。

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