岡田将生×中井貴一は最強のコンビに 『ザ・トラベルナース』満月の夜を彩る美しい最終回
『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)が12月8日に最終回を迎えた。全8話とワンクールとしては短い物語となったが、基本的に1話完結型のドラマでありながら、少しづつ積み重ねていった先の綺麗なフィナーレだったように思える。
「ナースは人に寄り添い人を治すことができる」という矜持のもと、患者に寄り添い続けてきた静(中井貴一)。マルファン症候群による大動脈弁閉鎖不全から倒れてしまう静に、最後は歩(岡田将生)が寄り添うというのが大まかな最終回の内容だ。
第1話では意識、プライド、態度と全てがデカく、看板ドクターである神崎(柳葉敏郎)にも楯突くほどのトラブルメーカーだった歩が、最終回では静のオペのため、神崎に頭を下げるほどになっていた。神崎の腕をもってしても難しい手術だが、“ゴッドハンド”と呼ばれるニューヨークの医者・シェルプが静のオペを引き受けてくれることになった。患者である静と一緒に歩もニューヨークへ行って、手術を手伝うことがシェルプの条件。つまりは、トラベルナースとして天乃総合メディカルセンターとはお別れということになる。
しかし、『ザ・トラベルナース』では『孤独のグルメ』(テレビ東京ほか)や第7話での映画『カメラを止めるな!』としか思えない礼(荒木飛羽)が監督を務めた『ゾンビは生きている』と、様々なリファレンス要素が散りばめられていたが、最終回で久々に登場した神崎もまたあえて“ギバちゃん”に寄せた演技。神崎が静にささやいた「これでチャラにしてけれ」の秋田弁も、『踊る大捜査線』(フジテレビ系)の室井慎次を彷彿とさせる。
「一人で死ぬのは怖い。だから君に看取ってもらいたいんだ」と静が歩に本心をさらけ出したことで、2人は一気に距離が縮まっていく。フローレンス財団の理事長として、別の名を“あしながおじさん”として、遠くから歩を見つめていた静。第1話にてバスで一緒になったのも、アメリカから帰国するように呼び出したのも静の考えのもと。そして、最後の最後で静がなぜ歩を援助し続けてきたのかが明らかになる。静が歩に渡すのはペンダント。そこには亡き歩の母と幼き歩の姿が写し出されていた。