『君の花になる』歌番組にツアーと順調な8LOOMに暗雲 「好き」が個人の強みに変わる

 新曲のリリースに、全国ツアーの決定。歌番組で新曲を披露する姿も、一気に垢抜けた印象だ。加えてそれぞれソロの仕事も充実し、すべてが順調に見えた8LOOM。だが、そんなときにこそ要注意なのだ。落とし穴は、前へ前へと意識が向いているときにこそハマりやすいのだから。火曜ドラマ『君の花になる』(TBS系)第8話は、勢いにのる8LOOMに暗雲が立ち込める。

 その発端は、なる(宮世琉弥)の自信喪失だった。なるは、最年少でありながら1番精神的に安定していた。いつも笑顔を絶やすことなく全体を見つめ、ぶつかり合うメンバーのケアをしてきた。そんななるはグループの精神的支柱と言っても過言ではない。また、楽曲の振り付けも担当するなど誰から見ても8LOOMに欠かせない存在だ。しかし、ここにきて「8LOOMの役に立っていない」「特出して秀でているものがない」と、こぼし始めたのだ。

 最初は、メンバーそれぞれが個性を発揮し始めたことによる反動なのかと思われた。弾は楽曲作りに専念できるようになったし、栄治(八村倫太郎)は色々と吹っ切れて知的キャラを確立することになった。

 有起哉(綱啓永)もクイズ番組の早押しで間違えてカニがスルメになってしまうなんていう、ある種の“おいしい”展開をかっさらっていくところを見るとバラエティ的素養も十分ありそうだ。

 天然愛されキャラの巧(NOA)はすっかり食レポではおなじみとなっているようだし、宝(山下幸輝)と竜星(森愁斗)もダンスコンテストに出場するなど新しいチャレンジを始めた。メンバー間のトラブルがなければ、ケア要員として求められる場面もない。振り付けも最近では宝と竜星もアイデアを出してくれているため“自分じゃなければならない役割”ではなくなった。ならば、自分には何があるのか、と。

 なんでもいいから強みを見つけなければ……と焦って迷走するなるに、元教師ならではのアドバイスをしたのはあす花(本田翼)だった。役に立つかどうかで探すよりも、まずは好きなことをふくらませること。確かに他のメンバーが今イキイキとしているのは、弾は音楽、栄治は勉強、有起哉はその場を盛り上げること、巧は食べること、宝と竜星はダンス、とそれぞれ好きなことを思い切りやっている印象だ。

 だが、なるはどちらかといえば何事も器用にこなすオールラウンダー。これが特別「好き」というものが見つからない。ボーイズグループにいるとどうしても、「○○といえば」といったわかりやすいキャラクター性が欲しくなるもの。そこから個人の可能性が広がっていくから。いつもなるに相談相手になってもらっていた弾は、今度は自分が背中を押す番だと思ったのだろうか。映像編集に興味を持ち始めていたなるに、新曲PVの監督をやってみないかと促すのだった。

 人を突き動かすエネルギーを持った「好き」な気持ち。なるの真剣にモニターをチェックする眼差しが実に凛々しかった。新曲MVのテーマは大人になった8LOOM。しかし、なるは「大人になるって何……?」と、またもや迷走してしまう。これまで目の前のことに精いっぱいだった8LOOMが、改めて大人になっていくということに向き合うタイミングが来たともいえる。そこに気づけるというのも、やはりなるがメンバーの中で最も精神的に成熟しているといえるのかもしれない。

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