松下洸平が『アトムの童』で燃やす情熱の“青い炎” 隼人役でもとことんの真っすぐさ

「お前が出て行けよ!」

 『アトムの童』(TBS系)第5話のラストには、那由他(山﨑賢人)と隼人(松下洸平)の性格の違いや関係性がはっきりと出ていた。突然アトム玩具に、差し押さえだとやって来たやよい銀行の銀行員たちに今にも殴りかかろうとする那由他と、そんな彼を、自身も戸惑いと悔しさを滲ませながら必死に止める隼人。想いや情熱を優先するあまり、暴走しかけてしまう那由他をいつも制御しているのは隼人だ。

 完成したがなかなかダウンロード数が伸びなかったアトム玩具初のゲーム「アトムワールド」だが、ゲームの内容より先に主人公・ゲッチャリロボがネット上で話題に。そのゲッチャリロボのフィギュアの足にQRコードを貼り、販売することで、購入者をゲームに誘導する仕組みを提案したのは隼人だ。

 もともと那由他と共同で「ジョン・ドゥ」を名乗り、ゲームを作っていたのだから、その技術力は言わずもがな。「アトムワールド」がアジアのゲームアワードでユーザーのベストワンに選出され、雑誌の取材を受ける際には、開発のことを聞かれたらよろしくと那由他から言われるほどその信頼は厚い。関係の長い那由他には軽口を叩いて、友人のように接するのに対し、まだ出会ってから日が浅く、”同僚”でしかない海(岸井ゆきの)にはいつも敬語を使う。隼人は、アイデアマンでありながら、実務もこなすことができ、その上、会社の一員としてもきちん振る舞うことができる、オールラウンダーなビジネスマンとしての側面があるのだ。この一面が那由他を大きく支えることに繋がっている。

 隼人を演じる松下は、近年、話題作に次々に出演。優しげな雰囲気を保ちつつも、凛とした佇まいや意志の強さを感じさせる表情を見せる。『最愛』(2021年/TBS系)や『やんごとなき一族』(2022年/フジテレビ系)で、周囲の状況や自分の置かれた立場に翻弄されつつも、真っすぐに一人の女性を愛すという役どころを演じていた。今回は、松下の魅力はそのままに、その真っすぐさが、那由他に向けられているように感じる。

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