俳優業10周年、松岡広大が描く“理想の俳優像” 「誰かの視界の隅にいるくらいの存在に」

 こじらせ同人作家とキラキラアイドルへと成長した幼なじみの成長を描くドラマ『壁サー同人作家の猫屋敷くんは承認欲求をこじらせている』(ABCテレビ/以下『壁こじ』)。俳優・松岡広大は、同作で中尾暢樹とともにW主演を担っている。

 松岡といえば、今年、俳優デビューから10周年の節目を迎え、8月9日にはアニバーサリーブック『松岡広大 10th ANNIVERSARY BOOK -再会-』を発売。その内容は、西表島での撮り下ろし写真とともに、この10年の松岡を深く掘り下げた1冊になっている。

 リアルサウンド映画部では、そんな松岡にインタビュー。25歳にして、ドラマ、映画、舞台と幅広いフィールドで芝居と向き合ってきた松岡は、この10年間を「すべての仕事が刺激的だった」と明かしてくれた。そんな松岡が今、描いている理想の俳優像、モチベーションとは何か。芝居への思いを聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

俳優業10周年「すべての仕事が刺激的だった」

ーー2012年から俳優業をスタートさせた松岡さん。芸能界入りのきっかけはなんだったのでしょう?

松岡広大(以下、松岡):小さい頃から芸能界に憧れていました。最初は歌って踊れる、いわばアイドルのような存在になりたいと思っていて、小学生の頃は週6くらいの頻度で地元のダンススタジオに通っていました。ただ、10歳になったころ、週に何回も通っているのにもかかわらず、全然上達しなくなった時期があって、それをなかなか打破できない状況が1年続いていたんです。そんな自分に対して「もうそろそろ終わりかな」と漠然と思ったタイミングで、テレビを見ていたら、俳優さんがお芝居をしていて。「なんておもしろそうなんだ!」と今の事務所(アミューズ)に履歴書を送りました。

ーー方向転換するまでが早かったんですね。

松岡:そうですね。「ずっとダンスを続けていたのに」というような躊躇はなく、エンターテインメントという部分では同じだし、芸能界に入れるなら、よかったんだと思います。

ーーそこでアミューズを選んだのはなぜだったんですか?

松岡:オーディション雑誌の1番最初にあったんです。今思えば、五十音順なんですけど、小学生の頃は「紙面で1番最初にあるなら、たぶん1番の会社なんだ!」と思って(笑)。

ーーお芝居の楽しさに気付いたのはいつ頃でしょう?

松岡:最初から違和感はなかったです。新しい興味に出会えること、失敗することさえも楽しかったのを覚えています。もちろん厳しく指導していただくこともありましたけど、幼い頃から叩き上げの精神があるというか「千本ノック上等!」みたいなタイプでしたし、大人が真剣に向き合ってくれることも嬉しかったんですよ。稽古ってこんなに楽しいのかって。

『松岡広大 10th ANNIVERSARY BOOK -再会-』

ーー8月9日には俳優業10周年を記念したアニバーサリーブック『松岡広大 10th ANNIVERSARY BOOK -再会-』が発売されました。改めて、この10年を振り返って、今、何を思いますか?

松岡:もう10年かと思いつつ、まだ10年かという気持ちです。矛盾した感じにはなってしまうんですけど(笑)。振り返ってみると、一緒に仕事をしたいと思っていた方とどんどん仕事ができていますし、思い続けてよかったなとも思いました。それから、まだまだ勉強途中ではありますが、いろんなものに触れて来たなと。すべての仕事が刺激的だったなと思いました。

主演と演技は別物、二足のわらじで挑む『壁こじ』

『壁サー同人作家の猫屋敷くんは承認欲求をこじらせている』©︎ミナモトカズキ・徳間書店/2022「壁こじ」製作委員会

ーー現在、放送中のドラマ『壁こじ』で中尾暢樹とともにW主演を務めている松岡さん。主演を務めることになったときの気持ちを教えてください。

松岡:W主演を一緒にやり遂げることが、果たして僕にはできるのだろうかという不安がありました。これまで僕が出演してきたドラマや映画で、主演を務めていた人って、みなさん主役然としていたんです。それを務める手腕が僕にはあるのだろうかと、不安でした。

ーー主役然としていた、というのは具体的にどういうことでしょう?

松岡:みなさん、すごく開けている印象なんです。キャストの方とはもちろん、スタッフの方とも意思の疎通ができているなと。でも僕は外交的な性格ではあるものの、考えごとをすると周りが見えなくなってしまうタイプなんです。だから、僕が重く構えていたら周りも固く萎縮してしまうだろうし、そうなってしまったら問題だなと開けた思考で臨むよう心がけました。

ーー出演と主演では、かなり気持ちも違いそうですね。

松岡:そうですね。演技という仕事と、主演という仕事、二足のわらじを履いて、それをいっぺんにやっている気分でした。その両方が同じ作品の中で求められるというのは大変な作業だったなと実感しました。

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