これぞ求めていたMCU! 『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は何度でも観たい
ネタバレになってしまうので詳しくは触れないが、ストーリー的にもかなり攻めた展開が待ち受けている。前作『ブラックパンサー』では“正義”の対立構造が描かれたが、今作で描かれるのは、喪失や憎しみとどう向き合うかだ。
ティ・チャラの妹であるシュリ(レティーシャ・ライト)を中心に、ラモンダ(アンジェラ・バセット)、オコエ(ダナイ・グリラ)、ナキア(ルピタ・ニョンゴ)、そして新登場となるアイアンハート/リリ・ウィリアムズ(ドミニク・ソーン)ら女性たちが物語を牽引していくところにも、チャドウィック・ボーズマンの喪失を乗り越えて、前に進んでいこうとするキャスト・スタッフ陣の姿勢がうかがえる。
既存キャラクターの謎のキャラ編やあまり魅力を感じない新キャラクターの登場、マルチバース展開への食傷感に全体的なストーリーのゆるさなど、特にフェーズ4以降のMCUは、『ホークアイ』など一部の作品を除き、個人的にノれない作品が多かった。だが、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は久々に「これぞMCU」と思える作品だった。
長編映画としてはフェーズ4最後の作品となる『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(ディズニープラス作品を含めると最後の作品は『マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』)。『ブラックパンサー』以外の作品との繋がりがあまりないだけに、今後のMCUがどうなるかは未知数だ。映画としてのMCU次回作となるのが、またマルチバースの世界が舞台になるであろう『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023年2月17日公開)ということに、やや不安が募るが、とりあえず今はこの『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』を何度でも噛み締めたい。
■公開情報
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
全国公開中
監督:ライアン・クーグラー
製作:ケヴィン・ファイギ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©︎Marvel Studios 2022