『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』のファンタジー世界が映す、現代の思考

Netflixファンタジー作品共通のテーマ

 ファンタジー映画といって、思い浮かべる作品はなんだろうか。『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』など有名なシリーズはどれも、劇場で観たくなるような迫力があって、シリーズ化されるほど熱狂的なファンが多い作品だ。

 原作の世界が十分に表現されていたり、未知なる世界が広がっているからこそみんな夢中になるファンタジー作品の数々。現実には、ほとんどあり得ない理想の世界が描かれているから熱中できるのだ。しかし、今、Netflixで配信されているファンタジー作品は、現代の思考とマッチしたストーリーが多い。

スマホを使う現代高校生フェアリーたちの物語

 イタリア発のアニメ「Winx Club」の実写化で、2021年にシーズン1が配信された『ウィンクス・サーガ:宿命』は、妖精たちの物語。2022年の9月にシーズン2が配信された。『ハリー・ポッター』のホグワーツを彷彿とさせる「アルフィア」という学校が舞台でありながら、スマートフォンを使い現代のティーン映画を見ているかのような、普通の高校生らしい一面も映される。恋愛もあり、自分の親との関係やセクシャリティに悩む10代らしい姿も描かれている。しかし、そんな生活の中でバーンド・ワンやブラッド・ウィッチという宿敵がいて、それぞれ得意な魔法を使って立ち向かうという物語だ。

 自分が妖精であることを信じなかった主人公のブルーム(アビゲイル・コーウェン)は、ルームメイトのアイシャ(プレシャス・ムスタファ)に「『ハリー・ポッター』は読んだことないの?」と言われるセリフがある。あえて視聴者に、ファンタジーの代表格である『ハリー・ポッター』はフィクションであることを認識させているようだ。

 妖精たちは、火・水・心・光・地など、自分が得意とする分野に分けられる。火を操るブルームにはブラッド・ウィッチに立ち向かえる力があるが、人間だと思って生きてきた彼女は、自分の本当の両親や出生の謎を求め始める。そしてブルームが持つドラゴンの炎によって、戦いの幕が上がってしまうのだ。主人公の悲劇的な点が少しダークな世界観を作り上げている。

 シーズン2では中心となる5人の恋愛や人間関係も進展していく。そして宿敵との対決や謎も解決に導かれていく。しかし、この妖精たちの世界は未だ不穏な雰囲気に包まれており、もちろん続編の制作も視野に入れているだろう。

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