『舞いあがれ!』なにわバードマン編はまるで『鳥人間コンテスト』のドキュメンタリー

『舞いあがれ!』と『鳥人間コンテスト』

 『舞いあがれ!』(NHK総合)のヒロイン・岩倉舞(福原遥)が所属する浪速大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」は大きな挫折を味わった。

 人力飛行機の飛距離を競う『イカロスコンテスト』に向けて「スワン号」を作っていたのに、今年は書類審査で落選。夢のスタートラインにすら立たずに彼らの夢は泡と消えた。しかし、サークルの代表・鶴田葵(足立英)が、女性パイロットの「飛行距離世界記録挑戦」を提案。すぐさま目標を切り替えた。ただじゃ転ばない「なにわバードマン」の底力が垣間見えた瞬間だった。

 さて、彼らが躍起になって挑む年に1度の大会『イカロスコンテスト』だが、視聴者としては、どうしたって『鳥人間コンテスト』を想起してしまう。

 読売テレビ・日本テレビ系で放送されている同大会は、1977年にスタート。天候や新型コロナウイルス感染防止の観点などから中止年はあったものの、毎年開催されてきた。歴代のMCである今田耕司、南海キャンディーズ・山里亮太、ナインティナイン・矢部浩之(現MC)らがバトンタッチしていきながら、出場者を応援。そんなテレビの持つエンターテインメント要素をくわえながら、歴史を積み重ねていったのだ。

 『鳥人間コンテスト』を題材にした小説があるのをご存じだろうか。それが、中村航の『トリガール!』(角川マガジンズ/2012年)である。工業大学に入学した鳥山ゆきなが、ひょんなことから人力飛行機サークルに入部するところから始まるストーリーで、2017年には土屋太鳳主演で映画化。こちらは、『舞いあがれ!』で「スワン号」の設計を担当する刈谷博文役の高杉真宙も出演している。ゆきな(土屋太鳳)が一目惚れする先輩・高橋圭を演じた高杉真宙は、同年の第9回TAMA映画賞にて最優秀新進男優賞を共演者の間宮祥太朗とともに受賞。土屋も最優秀新進女優賞に選ばれた。業界内外でも話題になった本作は『鳥人間コンテスト』に挑む若者を描いた青春映画であり、大会にリスペクトを込めたつくりとなっていた。だからこそ、この評価につながったのだろう。

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