『うる星やつら』“沼”に引きずり込まれる! ポップな仕上がりから感じる制作陣のこだわり
現代的な文化をオープニングで描きながら、本編は(今の目で見て)レトロで懐かしい80年代としている辺りにスタッフのこだわりが見て取れる。一新されたキャスト陣は、81年度版の雰囲気を踏襲したかのような声質の人が起用されており、ラム役の上坂すみれ、あたる役の神谷浩史ともども好感が持てる。
10月6日に放送された『めざましテレビ』(フジテレビ系)で流れた81年度版の主演2人・古川登志夫、平野文との対談で、神谷が「過去作と比べられてどうこう言われるのは当然だと思う。でもその色々な感想も含めて僕は全部受け止めるから、とにかく(あたるを)やらせて欲しいという気持ちでオーディションを受けた」と話していた通り、再アニメ化に際してプレッシャーを抱きつつも前向きに取り組む姿勢が伺える。初代あたる役の古川と、初代ラム役の平野が、今回はそれぞれのキャラクターの親の役柄で出演しているのも、作り手の愛情と共に81年度版へのオマージュが感じられるところだ。この新作アニメキャスト座談会の動画は、『めざましテレビ』で流れた映像より長いものがフジテレビのアニメ公式チャンネルにUPされているので、興味がある人は全長版をご覧いただきたい。
2022年に生まれ変わった『うる星やつら』は、デジタル化が進んだアニメでしか表現し得ないカラフルな彩色やエフェクトがふんだんに取り入れられており、一方で81年度版を知る人には、どこか懐かしい記憶の思い出に触れるような作りでもある。81年度版のアニメのリメイクというよりは、高橋留美子の原作まで逆のぼっての再アニメ化といえる本作。前述の座談会動画の中で、ラム役の上坂が「リアルタイム世代の人じゃない人も『うる星』の沼に呼び込みたい」と抱負を語っているが、80年代に生まれていなかった新規ファンをどれだけ取り込めるか。
キャラクターデザインは『おそ松さん』、『映像研には手を出すな!』の浅野直之、メカニックデザインに『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のJNTHED、制作スタジオのdavid productionは、これまでに『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ、『はたらく細胞』、『炎炎ノ消防隊』など、話題作、ヒット作を世に送り出してきている。全4クールにわたって放送するという新生『うる星やつら』の動向にも注視していきたい。
■放送情報
『うる星やつら』
フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて、毎週木曜24:55~放送
声の出演:神谷浩史、上坂すみれ、内田真礼、宮野真守、沢城みゆき、高木渉、古川登志夫、戸田恵子、小山力也、平野文ほか
原作:高橋留美子
監督:高橋秀弥、木村泰大
シリーズ構成:柿原優子
キャラクターデザイン:浅野直之
サブキャラクターデザイン:高村和宏、みき尾
メカニックデザイン:JNTHED、曽野由大
プロップデザイン:ヒラタリョウ
美術監督:野村正信
美術設定:青木薫
色彩設計:中村絢郁
音楽:横山克
アニメーション制作: david production
©高橋留美子・小学館/アニメ『うる星やつら』制作委員会
公式サイト:https://uy-allstars.com/
公式Twitter:@uy_allstars