“まいんちゃん”放送から9年も人気のワケ 運命の役から朝ドラ抜擢までの福原遥の軌跡

 NHKで『舞いあがれ!』第1週~3週の一挙放送が決定。関連番組として福原遥が子役時代に出演していた『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』が放送される。福原が演じた主人公の“まいんちゃん”は、放送終了から9年以上経った現在も根強い人気があり、再放送決定のニュースが発表されると、大きな話題となった。

 『舞いあがれ!』では、10月21日放送の第15話でヒロインの舞が大学生に成長。子役の浅田芭路から、本役の福原遥にバトンが手渡された。“まいんちゃん”から“舞”になった福原の変化をこの機会にご覧いただきたい。

 従来よりも長い期間を設け、丁寧に子役時代を描いた『舞いあがれ!』。浅田は現在9歳にして、他人の気持ちに人一倍敏感で、自分の思いを呑み込んでしまいがちな舞の心情を巧みな演技で表現した。そんな浅田は過去のインタビューで語っているように、「大人になって朝ドラのヒロインを演じること」(※1)を目標として掲げている。実は福原が朝ドラのヒロインになるという夢を抱いたのも、今の浅田と変わらない年齢の頃だった。

 2009年から2013年まで、子ども向け料理番組『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』(NHK Eテレ)で主人公の“まいんちゃん”こと、柊まいんを演じた福原。これが彼女のデビュー作ではなく、芸能界入りを果たしたのは2005年。まいんちゃんになるまでの4年間もいくつかの作品に出演しているが、なかなか大きな役に恵まれずにいた。そんな中、母親と「これに落ちたらやめよう」と言って受けたのが、まいん役を決めるオーディションだったという(※2)。福原にとって、まいんちゃんは苦労の末に出会えた運命の役だったのだ。

 同作は、架空のテレビ局を舞台に、ひょんなことから料理番組の司会を務めることになった“まいん”の活躍を描くアニメパートと、アニメで登場する料理をスタジオで実際に作る実写パートに分かれた10分番組。福原は実写のみならず、アニメでも“まいん”の声を担当。さらにスタジオでは、料理の合間に歌とダンスも披露している。当時、すでに番組のターゲット層からは外れていた中学生の筆者にも、まいんちゃんの登場による世間の衝撃は伝わってきた。「こんなにかわいい子が存在するんだ!」と目がさめるような華やかさ、あどけなくも様々な表現活動にまい進するアイドル然とした姿は観る人のハートを射止めた。番組が4年目に突入した2012年以降、アニメより実写パートの方により多くの時間が配分されるようになっているが、これは福原の人気に依るところが大きいのではないのだろうか。

 まいんちゃんとして一斉を風靡し、その後はあらゆる道が約束されていたが、特に幼き日の福原が心惹かれたのは“芝居”だった。2011年度前期放送の連続テレビ小説『おひさま』(NHK総合)でヒロイン役を務めた井上真央に憧れ、福原は朝ドラヒロインを志すようになる(※2)。当時13歳。そこから『舞いあがれ!』のヒロインに選ばれるまでの約10年間、福原は表現の場は問わず、貪欲に夢を追いかけてきた。

『舞いあがれ!』ヒロインも決定 福原遥が明かす、“まいんちゃん”からソロアーティスト活動に至るまで

2022年後期にスタートするNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』ヒロインを務めることでも話題の福原遥。2021年12月まで放送さ…

 福原といえば、その“声”が特徴的だ。甘いけれど、不思議と媚びているようには聴こえない、どこか真綿に包まれたような癒される声だと思う。耳心地が良く、万人受けする愛されボイスはアニメ作品とも非常に相性がいい。まいんちゃん卒業後、福原がまず活路を見いだしたのは声優としての活動だ。

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